フロリダ州で工業廃水の貯水施設に決壊の恐れがあるとし、一時、住民に避難命令が出されました。
3日土曜日、フロリダ州タンパの南に位置するマナティ郡で工業廃水の貯水施設で大規模な漏れが生じ、決壊のおそれがあるとして、 デサンティス知事が非常事態を宣言しました。 住宅や農地では浸水に備え、300世帯以上の住民に避難命令が出されました。当局は、貯水施設の水圧を下げるために、毎日3500万ガロン、約1億3000万リットルの廃水をポンプでくみ出し、くみ出した水はタンパ湾に放出されました。6日火曜日に、貯水施設決壊の危機は回避したとして避難命令は解除されました。
この貯水施設には、今は閉鎖されているリン酸肥料を製造していた工場の廃水が貯められています。 廃水には、リン鉱石から肥料を製造する工程で生じる放射性物質のラジウムとウランが少量含まれているということですが、州の環境保全当局は、放出した廃水に放射能は検出されなかったと発表しました。また、やや酸性であるもののリンと窒素の濃度を除けば海水の水質基準を満たしているとし、毒性はないとしています。 専門家や漁業関係者は、リンが海水に放出されたことで、海藻や微生物が異常増殖し、生態系に影響を与える可能性があると懸念しています。