アメリカ最大級のパイプラインがサイバー攻撃を受け、5日間にわたり、操業を停止しました。パイプラインは再開しましたが、市民の生活にも影響が出ています。
攻撃を受けた コロニアルパイプラインは、東海岸の燃料の45%を供給、テキサス州からニュージャージ州までを繋ぎ、5500マイル(約8850㎞)に及びます。7日金曜日、コロニアルは、社内のコンピューターシステムにサイバー攻撃を受けたとして、システムを外部から遮断、操業を全面的に停止しました。
このパイプラインでは、1日に250万バレル、およそ1億ガロンの燃料を輸送しています。パイプライン停止の影響でガソリンを確保しようと各地のガソリンスタンドでは、長蛇の列ができました。ガソリンスタンドに訪れた女性は「6カ所に行きましたが どこも売り切れでした。」と語りました。12日水曜日の段階で、ノースカロライナでは、州内のガソリンスタンドの3分の2で、ジョージアでは州内の半分のスタンドでガソリンが底をつきました。ガソリン価格は高騰し、12日水曜日には全国平均で1ガロン3ドルとなり、7年ぶりの高値を付けました。
12日水曜日夕方、コロニアルは、運転を再開したと発表しましたが、通常の状態に戻るには数日かかるとしています。
今回のサイバー攻撃は、コンピューターウイルスでシステムを使用不能にし、制限を解除するための身代金を要求する「ランサムウエア」と呼ばれるもので、国土安全保障省当局は「これまでで 最大規模のインフラへのランサムウエア攻撃」だとしています。FBI連邦捜査局は、犯行にはロシアのハッカー集団「ダークサイド」が関与していると見ています。国土安全保障省サイバー・インフラ安全局長官代理は「サイバー攻撃の頻度が増え、高度で大胆になっています。」と語りました。
ランサムウエアによる攻撃は、今年になって300%近く増加していおり、アメリカ企業や消費者に、およそ3億5000万ドルの被害が出ています。FBIはこうしたサイバー攻撃に対する身代金は払わないよう推奨していますが、コロニアルがハッカー集団に身代金500万ドルを支払ったとアメリカメディアは報じています。