アメリカ体操女子のスーパースター、シモーン・バイルス選手が団体総合の決勝を途中棄権に続き、個人総合への出場を見送りました。
バイルス選手は、27日火曜日に行われた団体総合の決勝で、跳馬でミスがでると表情が曇り、それ以降の種目を棄権、チームメイトに後を託しました。アメリカ体操女子代表は、銀メダルを獲得。その後の会見でバイルス選手は精神的なストレスがあったと語りました。
バイルス選手「今回のオリンピックは多大なストレスがかかっていました。無観客など様々な要素が加わり、長い1週間でした。オリンピックへの準備も長く、長い1年でした。これまでと違うことが多く、たくさんのストレスを抱えました。選手は競技を楽しむべきですが、それができない場合もあります。」「今日はとくにストレスを感じました。朝の練習は順調でしたが、会場に来るまでの待ち時間は震えていました。競技の前にこんな精神状態になるのは初めてです。会場に来て 楽しもうと準備運動をしましたが、競技を始めても集中できませんでした。」 「チームがメダルを失うリスクを冒せませんでした。」「心の健康を保つため 時には大きな大会を欠場してもいいと思います。苦しみながら競技を続けるよりも、それが競技者として真の強さだと思います。」
28日水曜日には、29日木曜日に出場予定だった個人総合の欠場も発表しました。アメリカの体操チームは、バイルス選手の決断を心から支持し、自身の心の健康を優先させたことを賞賛するとしています。
バイルス選手は体操用語で「トゥイスティーズ」と呼ばれる、空中で回転中に方向感覚を失ってしまう状態に陥ったと語っています。専門家によると、このトゥイスティーズで一度恐怖を感じると体が硬直し、振り切るのに時間がかかる場合があるということです。バイルス選手の技の多くは難易度が高く、精神的なバランスを崩した状態で続ければ大きな怪我に繋がりかねないとして、途中棄権した勇気を賞賛する声が集まっています。