約3000人が命を落とした同時多発テロから明日で20年となります。亡くなった消防士の家族が、事件を風化させまいと活動を続けています。
スティーブン・シラーさんは、ニューヨーク市ブルックリンの消防士でした。同時多発テロの犠牲者の一人です。兄のフランクさんは「弟は60ポンド(約27㎏)の装備を担ぎ、2マイル(約3.2km)あるトンネルを走って向かいました。」と事件当日のスティーブンさんについて語りました。スティーブンさんは車両通行止めのトンネルを自らの脚で走り、ワールドトレードセンターへ救助に向かいました。市民の救助活動を続ける中、スティーブンさんは現場で殉職しました。34歳でした。兄のフランクさんはスティーブンさんの勇気と栄誉を称え、19年に渡りブルックリンからマンハッタンまでトンネルを走るマラソンのイベントを行ってきました。
あれから20年となる今年は、事件のことを風化させまいと特別なイベントを行いました。兄のフランクさんは「若者に何が起きたのかを知ってほしいので、テロ被害があった3カ所を歩きます。」とイベントについて語りました。「ネバ―・フォーゲット・ウォーク」と呼び、フランクさんはバージニア州にあるペンタゴンを8月1日に出発し、ペンシルベニア州シャンクスビルへ、そこからニューヨークへと歩いています。距離は537マイル、864キロメートルに及びます。11日土曜日にニューヨークに到着する予定です。兄のフランクさんは「アメリカに事件を覚えていてほしい、そして20年前の弟の行動を称えたいのです。」と語りました。
11日土曜日には全米各地で追悼式が行われます。ニューヨークでは朝8時半からグラウンドゼロ、ワールドトレードセンタービルの跡地で遺族が参加する追悼式典が行われ、犠牲者の名前が1人づつ読み上げられます。そして日暮れには 2本の光の柱がマンハッタン・バッテリーパークから放たれ、ニューヨークの夜空を照らします。また、エンパイヤーステートビルディングなどもビルをブルーにライトアップし、犠牲者を追悼します。