全米で最も厳しい人工妊娠中絶を事実上禁止する法律が施行されたテキサス州で、中絶手術を行ったことを明かした医師が提訴されました。
18日土曜日、テキサス州サンアントニオの医師はワシントンポスト紙への投稿で、自身が今月テキサス州の法律に抵抗して人工妊娠中絶手術を施したことを明かしました。テキサス州では、今月1日、妊娠約6週目以降の人工妊娠中絶手術を事実上禁止する法律が施行されました。これは、妊娠中絶に関係した人を一般市民が訴えることができる仕組みで、勝訴すれば最低1万ドルの報奨金を受け取ることができます。中絶手術を行った医師は、培った50年の経験をもとに人工妊娠中絶は極めて重要な医療措置であるとしています。
これを受けてテキサス州法に基づき州外の2人が訴えを起こしました。1人はアーカンソー州の元弁護士で人工妊娠中絶に反対ではなく、法の有効性を試したかったとしながらも報奨金目当てに訴えたとメディアに語っています。もう1人はイリノイ州の人工妊娠中絶賛成派の弁護士で、この州法は違法だとして、それを証明するために訴えを起こしたとしています。
専門家は訴訟が起こされたことにより、テキサス州の法律の合法性が問われることになるとしています。アメリカでは、1973年の連邦最高裁の判決で妊娠中絶を女性の権利とし、約24週までの人工中絶を認めています。9日、司法省はこの州法を違憲とし、テキサス州を提訴しています。