テキサス州とメキシコとの国境地帯にハイチなどから来た移民が殺到し、混乱が起きています。
メキシコとの国境に位置するテキサス州南部のデルリオに難民申請を希望する人が約1万4000人が詰めかけ、17日金曜日、市は非常事態宣言を出しました。集まった多くの移民はハイチ人で、国境にかかる橋の下で野宿を続けている状況です。テキサス州のアボッド知事は、国境警備隊を支援するため、州警察と州兵を動員しました。8月だけで、20万8000人の移民が南部の国境付近で拘留されており、去年の同じ月と比べ317%増加しています。国境警備隊員の1人は「こんな状況は初めてです。想定の範囲を大きく超えています。」と語りました。
メキシコとの国境を流れる川を渡って不法入国しようとする人が後を絶たず、入国を阻止しようと騎馬(国境)警備隊が威嚇する様子も見られました。しかし、この対応に批判が高まり、威嚇していた国境警備隊員は現場から外され、調査が進められています。テキサス州知事は、国境地帯に車を並べ移民の入国を防ぐよう州兵に命じました。
国土安全保障省は航空機での強制送還に踏み切り、19日日曜日から22日水曜日までに合計12の便で約1400人がハイチへ送還されました。また、当局は22日水曜日までに約3200人のハイチ人を拘留しましたが、いまだ5000人近くが橋の下で野宿を続けている状況です。
テキサス州との国境地帯に来ているハイチ人の多くは、南米、ブラジルやチリなどから来ているということです。ハイチの情勢不安から逃れて南米に移り住んだ人たちが、コロナまん延による景気の悪化で職を失い、生活に苦しんでいたところに、バイデン政権がハイチからの移民を受け入れているという誤った噂が広まり、人々が国境に殺到しているということです。バイデン政権が今年5月、すでにアメリカで生活していたハイチからの移民15万人に対し、一時的な保護措置の延長を行ったことも噂が広まるきっかけとなりました。最貧国の一つであるハイチでは地震や政治の混乱で不安定な状況が続いており、ハイチの難民をサポートする団体の関係者は彼らに帰る国はなく、みんな命がけだと語っています。