ソーシャルメディアのフェイスブックを内部告発した元社員が、議会上院の公聴会でフェイスブックの利益優先体質がもたらす有害な環境について証言、規制を訴えました。
議会上院で証言したフランシス・ホーゲンさんは、フェイスグック社の誤情報の拡散防止などを担当する部署で、2019年から今年の4月まで働いていました。数千枚におよぶ内部資料を持ち出し、メディアなどに提供した内部告発者です。ホーゲンさんは「フェイスブックは子どもや社会の安全、プライバシー、民主主義に多大な損害をもたらしています。フェイスブックには変革が必要です。」と証言しました。
ホーゲンさんの証言によると、フェイスブックは利益率をあげるため、アルゴリズムで利用者の画面に表示される投稿を操作しているということです。利用者が、怒りや悲しみなど極端な感情をもたらす投稿に時間を費やし、より多く拡散する傾向にあることから、暴力、憎悪、誤情報などの内容が優先的に表示されるよう設定されていると証言しました。ホーゲンさんはそれが、社会の分断や人々の怒りを助長しているとしています。
また、ホーゲンさんにより、フェイスブック傘下のインスタグラムの内部資料も明るみに出ました。それによりますと10代の少女を対象にした調査で、インスタグラムを使用することで3人に1人が 自分の体に自信がもてなくなり、さらに、精神的な落ち込みや不安を感じ、摂食障害につながる可能性もあるという結果が出ており、フェイスブックはそれを認識していたということです。ホーゲンさんは「フェイスブックは成長を続けるためには、利用者が増え続けることが必須だと理解しています。そのために幼いうちから子どもたちに習慣づけさせるのです。」と証言しました。議員からの「子供を中毒に?」という質問に「そうです。」と答え、「提供した資料には年齢別の調査結果があり、被害率が最も高かったのは14歳です。」と語りました。
ホーゲンさんはフェイスブックについて、外部の専門家による調査と同時に企業を取り締まる規制強化が必要だと訴えました。「人々の安全より莫大な利益を優先しています。規制されなければフェイスブックは変わりません。」と証言しました。
ホーゲンさんの告発について、フェイスブックは反論しています。 フェイスブックのグローバル政策担当モニカ・ビッカートさんはABCニュースのインタビューに答え「彼女の証言は正確ではありません。語っていた内容の部署では働いていません。盗んだ資料の多くを誤って分析しています。」と語りました。また、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ CEOは、フェイスブックで声明を発表し「私たちが、調査結果を無視する意図で調査を行うとは意味不明」だとし。「何よりも安全より利益を優先しているというのは全く事実とは異なる」と反論しています。
この内部資料の内容が最初にウォール・ストリートジャーナル紙が報じたのは9月半ばでした。それを受けてフェイスブックは先月の終わりに13歳未満の子供向けインスタグラム、インスタグラム・キッズの開発を一時停止すると発表しています。しかし、一時停止ではなく完全に中止するべきだとする声も多く、今後はさらに批判が高まるとみられます。ホーゲンさんはフェイスブックを含むソーシャルメディアの規制強化について、投稿表示順序を新着順にすること、また、年齢制限を16歳、または18歳にすることなどを提案しています。