映画の撮影現場で小道具の銃に実弾が入っていたとみられ、1人が死亡、1人がけがをしました。
21日木曜日、ニューメキシコ州サンタフェで行われていた西部劇映画の撮影現場で、俳優でこの映画のプロデューサーでもあるアレック・ボールドウィンさんがリハーサル中に銃を誤射して撮影監督が死亡 、後ろにいた監督が負傷しました。地元捜査本部のこれまでの調査によりますと、ボールドウィンさんは次のシーンの撮影のため、教会の椅子に座り銃をかまえる練習で銃口をカメラに向けたということです。 カメラの後ろに撮影監督と監督がおり、大きな音とともに実弾が放たれ撮影監督が死亡、監督は肩に銃弾を受けました。
銃は武器の担当者が用意した3丁のうちの1丁で、アシスタント・ディレクターがリハーサルの前にボールドウィンさんに手渡し、銃に実弾が入っていないことを示す「コールド・ガン」と現場の全員に聞こえるよう大きな声で伝えたということです。アシスタント・ディレクターは捜査本部の聴取で、リハーサル前に武器の担当者と銃の安全を確認した際、回転式拳銃のチャンバー(弾丸を装填する穴)を3箇所しか見ておらず、すべての穴を確認するべきだったと非を認めています。一方、武器の担当者は当日、銃に装填された弾丸がダミーで実弾ではないことを確認し、昼の休憩中に銃を金庫に保管したが、銃弾は出したままだったと証言しています。
警察は現場からダミーと実弾と見られる弾丸合わせて500発を押収しており、事件と事故の両面で捜査を行なっています。サンタフェ郡保安官は「なぜ実弾が現場にあったのかを調査しています。」と語りました。ABCニュース法律担当記者は、どのように実弾が持ち込まれたのかが問題です。それだけでも過失となります。誰の責任かが問われています。」と語りました。この撮影現場では、今回の事故の5日前にも2回の銃の誤射が発生しており、事故の数時間前に数人のカメラクルーが安全を懸念して現場から立ち去っていました。
死亡した撮影監督のハリナ・ハッチンスさん42歳は、9歳の息子がいる母親で、有望な若手撮影監督として期待されていました。テレビ・映画製作業界の安全対策委員会が出す指針では、撮影現場には実弾を持ち込むことがあってはならいとしており、安全対策が実行されていたかなどが問われています。