アメリカ議会下院で 数か月に渡って調整が続いていた 超党派の大規模インフラ投資法案が可決され、15日にバイデン大統領が署名する運びとなりました。 この規模のインフラ法案が成立するのは約50年とも言われています。
議会下院は5日金曜日、8月に議会上院を通過した1兆2000億ドル規模のインフラ投資法案を賛成多数で可決しました。下院の休会明けを待って15日に バイデン大統領の署名で成立することになります。
バイデン大統領は、気候変動や社会保障への支出を盛り込んだ1兆7500億ドル規模の大型歳出法案、いわゆる「ビルドバック・ベター」法案の成立も同時に目指していましたが、今回は見送られました。民主党左派の特に進歩的とされる議員は「ビルドバック・ベター」法案と 同時の採決でなければインフラ法案には賛成できないと主張し、6人が反対票を投じました。しかし共和党から13人の議員が 賛成に回ったことで可決にこぎ着けた形です。共和党のアプトン下院議員はツイッターに「超党派のインフラ法案は増税や負債の増加なしに必要なインフラ整備を支援する常識的な法案だ」と投稿しています。
インフラ投資法案成立で、道路や橋の整備に1100億ドル、高速インターネットの普及に650億ドル、 水道水の改善に550億ドルなどが投じられることになり、今後数年間で50万人分の雇用をもたらすと見られています。アメリカでここまで大規模なインフラ法案が成立するのは50年ぶりとも言われ、バイデン政権の大きな勝利と受け止められていますが、民主党内で左派と穏健派の調整に時間がかかり、成立が遅れたことで、その勝利が霞んだとの指摘もあります。
次の焦点となる「ビルドバック・ベター」法案について、民主党は来週の採決を目指していますが 穏健派が資金の出所などのより詳しい情報を求めているなど依然調整が必要とみられています。この法案では共和党から賛成票を得るのが難しく、バイデン大統領が党内をどうまとめるのかが注目されています。