年末商戦を前に全米で自分から仕事を辞めた労働者が1カ月で440万人に上り、過去最高を更新しました。
アメリカ労働省が12日金曜日に発表したところによりますと、今年9月に全米の労働者の3%にあたる 約440万人が自発的に離職し、離職率、離職者数ともに過去最高となりました。ホワイトハウスのサキ報道官は、人々がアメリカ経済に自信を持っている証拠だとして歓迎し「多くの労働者がより良い条件の仕事を探せると考えています」と語りました。
しかし、専門家は自発的離職者の増加は他にも理由があるとしています。パンデミックによりチャイルドケアが少なくなったこと、求めらる人材と求めらる仕事にずれがあること、労働市場から退く人が増えたことなども原因としてあげられています。
その結果、全米の広い範囲で労働者不足が続いています。あるベーカリーでは人手不足で事業を大幅に縮小せざるを得ないといいます。店主は「あと10人は雇いたいのだけれど、1人雇うのにも苦労しています。」と語りました。
人手不足に加えて経営を締め付けているのは材料の値上がりで、この2つの要素が合わさり、最悪の事態をもたらしていると専門家は語ります。ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミストは「労働者不足に物流遅延の混乱が加わり、広範囲で大規模な品不足が生じています。その結果がインフレです。」と語りました。専門家はまた、このインフレは今がピークとしながらも、回復には時間がかかると見ています。
NRF全米小売業協会は、インフレや冬になり新型コロナの感染が再び拡大する可能性など、不安要素はぬぐいきれないとしています。しかし、今年の年末商戦の売り上げは去年に比べて8.5%から10.5%上昇し、過去最高、これまでの記録を更新するという明るい見通しをたてています。