11月に破綻した暗号資産、いわゆる仮想通貨の交換業大手「FTXトレーディング」の創業者が逮捕されました。詐欺などの罪で起訴されています。
12日月曜日、バハマの捜査当局は、ニューヨーク州連邦地検が起訴したとして「FTXトレーディング」の創業者で前CEOのサム・バンクマンフリード被告を逮捕しました。13日火曜日に行われた会見で、ニューヨーク州連邦地検のダミアン・ウィリアムズ検察官は「史上最大の金融詐欺のひとつです。」と語りました。
バンクマンフリード被告30歳は、27歳のときにFTXを立ち上げ、時代のちょう寵児と呼ばれていました。企業価値は一時320億ドルとされ、NFLのスター選手やテニスの大坂なおみ選手など著名人を宣伝に起用し、金融初心者を暗号資産の投資に誘い込んでいました。
しかし先月、FTXは信用不安で資金繰りが悪化し、経営破綻。バンクマンフリード被告はCEOを辞任しました。連邦当局は、FTXが顧客資金80億ドルを失ったと推定しています。破綻をきっかけに、犯罪捜査が進められていました。
13日火曜日、検察当局は、証券詐欺やマネーロンダリングなど8つの罪でバンクマンフリード被告を起訴したと発表しました。被告は、顧客の資金を不正に流用し、被告が創業したヘッジファンド「アラメダ・リサーチ」の運用に充てていたということです。ニューヨーク州連邦地検のダミアン・ウィリアムズ検察官は「被告は顧客資金を使い 個人的な投資をしたり、アラメダ・リサーチの費用や負債にあてたりしていました。」と語りました。
数週間前にABCニュースのインタビューに応じたバンクマンフリード被告は、資金の不正利用について関与を否定し「顧客資金がアラメダの負債にあてられたと知らなかった。」と語っていました。FTXで200万ドル以上を失ったという投資家は「明らかに詐欺です。」と語りました。
また、アメリカの証券取引委員会と商品先物取引委員会が、バンクマンフリード被告が投資家への詐欺を行っていたとして提訴しました。
13日火曜日、議会下院では公聴会が行われ、FTXのCEOに新たに就任したジョン・レイ氏が証言し「これは巧妙な詐欺ではなく、昔からよくある横領です。」と語りました。レイ氏は、2001年に巨額の不正会計で経営破綻したエネルギー会社エンロンの破綻処理で陣頭指揮をとった人物です。「 FTXグループ崩壊の原因は、まるで素人で知識のない幹部数人だけに主導権があったことです。」と語り、FTXのずさんな経営実態を指摘しました。
バンクマンフリード被告は、バハマからアメリカへの身柄移送に抵抗する構えを見せています。逃亡の恐れがあるとして保釈申請は退けられており、来年2月までバハマで拘留される見込みです。被告は起訴された罪状全てで有罪判決を受けた場合、最長115年の実刑に直面する可能性がります。