アメリカでは変異ウイルス「オミクロン株」への感染が徐々に広がってきています。既存のワクチンや開発中の飲み薬について、オミクロン株への効果が注目されています。
アメリカでオミクロン株の感染が40州近くに拡大しています。全米では感染のほとんどがデルタ株ですが、約3%がオミクロン株だと推定されており、ニューヨーク州とニュージャージー州では13%を占めています。ニューヨーク州のコーネル大学では、学生の間で集団感染が起きたと見られ、今月9日から15日の1週間で約1400人の学生に感染が確認されました。その中には、オミクロン株への感染も見られるということです。
専門家は、いずれオミクロン株がデルタ株を上回り、主要な感染ウイルスになると見ています。CDC疾病対策センターのワレンスキー所長は「他の国を見ると2日間でオミクロン株の感染者数が倍になっています。急増しています。」と語りました。
そうした中、13日月曜日、イギリスで初めて、オミクロン株感染による死亡者が確認されました。オミクロン株への感染者数は2~3日で2倍になるほど急速に感染が拡大しており、主要な感染ウイルスになると予想されています。
また、14日火曜日、南アフリカの実臨床での研究が発表されました。それによると、ファイザー製ワクチンを2回接種した場合、オミクロン株への感染防止効果は33%にとどまっていますが、入院を防ぐ効果は70%とみられています。
一方、14日火曜日、ファイザーは開発中の飲み薬「パクスロビド」について、治験の最終分析結果を公表しました。それによると発症後3日以内に使用した場合、重症化のおそれがある患者の入院や死亡のリスクが89%低下したということです。また、実験室の初期分析の結果ではオミクロン株にも有効な可能性があるいうことです。
ファイザーは先月、FDA食品医薬品局に緊急使用許可を申請しており、年末までに承認を得られる可能性があるとしています。メルクの飲み薬についても緊急使用許可の承認が待たれています。
全米の大学で感染拡大が報告されており、学生の帰省による影響も心配されています。そうした中、多くの大学が年明けの新学期までに生徒と教職員全員にブースターショット(追加接種)を義務化する方針を打ち出しています。