白人に比べ、黒人やヒスパニック系などのマイノリティーへの感染率が高いことが問題視されている新型コロナウイルスですが、アメリカ先住民の居留地でも感染拡大が深刻化しています。
アメリカ南西部の3州にまたがるナバホ・ネーションは、ウェストバージニア州よりも面積が広いアメリカ最大の先住民居留地です。ABCニュースによると人口40万人に満たないこの居留地では現在、4000人以上が新型コロナウイルスに感染し、140人以上が死亡しているということです。居留地内に医療施設はほとんどなく、近隣の州にある最も近い病院は収容人数を超えている状態が続いています。
この居留地の40%の世帯には電気が通っておらず、水道が使える世帯はわずか30%だということです。貧困と、病院へのアクセスの悪さ、大家族で一つの家に住むという生活形態などが新型コロナウイルス対策を困難にしていると指摘されています。
居留地に住むスコットさんは、夫と息子を感染によって亡くしました。 11人の家族のうち8人が新型コロナウイルスに感染し、スコットさん自身も入院を余儀なくされました。 ナバホ・ネーションでの新型コロナウイルスの感染率は、アメリカで最も感染拡大が深刻だったニューヨーク州よりも高い数値になっています。
ここでの感染のピークはまだ3週間以上先だとみられていて、ニューメキシコ州など近隣の州にある複数のモーテルに、重症化していない感染患者を滞在させるなどして感染予防の対策をとっています。