新型コロナウイルスによる全米の死者数は7万2600人を超えました。トランプ大統領が、アメリカの経済活動再開 に強い意欲を示す中、感染者の増加が全米各地でみられています。
アメリカ市民は健康への不安、そして生活への不安、その両方を抱えながら経済活動再開に 向けて動き始めています。現在、38の州が経済活動の一部再開を始めていますが、そのうち19州では依然、感染が拡大しています。テキサス州でも1日で新たに1000人以上の感染が確認されました。一方、まだ営業の再開が認められていないバーを経営する女性は、行動制限に従わず店の営業を再開し逮捕されました。また、テキサス州のダラスでは行動制限に従わず、ヘアサロンの営業を続けた女性が訴追され罰金と7日間の実刑判決を受けました。テキサス州は今週金曜日には限定的にヘアサロンなどの再開を認める方針をしめしていて、州知事は実刑判決をうけたこの女性の釈放を求めました。FEMA・連邦緊急事態管理局によると全米各地に感染拡大の危険地域があるということです。ニューヨークタイムズ紙は、感染拡大が深刻なニューヨーク市を除くと全米の新規感染者は増加を続けていると報じています。テネシー州では、州で最大の刑務所内で集団感染が発生し、わずか10日間で州内の感染者数が27人から1300人に跳ね上がりました。イリノイ州では1日の感染による死者数がこれまでで最多の176人にのぼりました。
トランプ大統領は、5日、ABCのインタビューで、経済活動再開の影響で、感染による死者が増える可能性があることを認めています。また、新型コロナウイルス対策チームの解散が予定されていると発表されましたが、トランプ大統領は一転、対策チーム解散を撤回し、「対策チームがこんなに評判だとは気づきませんでした。継続させるべきだという意見が数多くありました。対策チームを無期限で継続させます。」と語りました。国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長と対策チームの調整官を務めるデボラ・バークス博士は引き続き、新型コロナウイルスの対策を担っていくということです。
経済の再開を進めている州の多くがホワイトハウスが先月発表した経済再開へのガイドラインの条件も満たしておらず、感染のリバウンドを危惧する声も聞かれます。その一方で仕事を奪われた人たちからの悲痛な声も聞かれ州知事は難しい舵取りを迫られています。