アメリカでは新型コロナウイルスの感染者数が36の州で増加、10州で感染による入院患者数が過去最多となりました。特に経済活動再開の時期が早かった州で感染者数の急増が見られています。
アリゾナ州フェニックスの検査施設では、長蛇の列ができていて、中には、午前1時から並んでいる人もいて、80歳の家族を連れた人もいました。ABC記者の 「車中泊してでも検査を受けたいと?80歳のお年寄りも?」という質問に、検査を待つ人は「そうです、家族の命を守るためです」と答えていました。この検査施設では保険や予約の必要がなく、無料で検査が受けられます。アリゾナ州全体の陽性率は34%と高い状態です。きのう、ダグ・デューシー州知事は、およそ1週間ぶりに公の場で発言し「レストランなどの屋内での飲食は 収容率を50%未満に制限します。客数を制限できるよう店内を準備してください。」と経済活動に関して要請しました。
アリゾナを含む経済活動再開時期が早かった州で急激な感染拡大がみられています。ニューヨークタイムズ紙の統計によると、フロリダ州では、1日の感染者数の平均が、およそ2カ月前、経済活動を再開した時と比べておよそ1400%も増加、アリゾナ州では858%、テキサス州では680%増加しています。サウスカロライナ州やジョージア州も急増しています。国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、感染拡大が深刻な州は、経済を再び封鎖する措置を考慮すべきだとメディアに語りました。また、「ガイドラインに沿って慎重に経済活動を再開するよう推奨しましたが州によっては ガイドラインを無視して再開に踏み切りました。フロリダ州もいくつかの指針を守らず再開しました。」と言及しました。
フロリダ州のマイアミ・デイド郡では検査の陽性率が26.2%にのぼっています。医療スタッフは、集中治療室で感染患者が1人で亡くなっていく姿を目の当たりにしています。マイアミの病院の看護師は「悲しいのは患者が生死をさまよっているとき、家族が誰もそばにいられないことです」と話しています。来月、共和党大会が行われる予定のフロリダ州のジャクソンビルでは、地元の住民や会社経営者らが大会の開催を阻止しようと訴えています。
カリフォルニア州など10州で感染による1日の入院患者数が過去最多を更新しています。そんな中、きのう、トランプ大統領は、アメリカの感染状況について「アメリカは世界で最も低い死亡率です」語りました。しかし、ファウチ所長は異なる見解を示し「他の国と比べてアメリカが感染に対処できているとは言えません」と語っています。
一方、アメリカの最も古い衣料品店ブルックスブラザーズが経営破綻。そしてユナイテッド航空が10月に人員の40%を削減する計画を明らかにするなど新型コロナウイルスの影響は経済に暗い影を落とし続けています。そうした中、労働省が発表した7月4日までの1週間であらたに130万人近くが失業保険を申請し徐々に下がってきてはいるものの依然高い水準となっています。7月26日には連邦政府による週$600の失業保険への上乗せは終了することから今後の生活に不安を抱える人は少なくないとメディアは伝えています。