アメリカの新型コロナウイルスの感染者数は増え続けています。ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官は、感染拡大が顕著な4州に対し、経済活動再開の後退を提言しました。
きのう、アメリカでの感染者数は300万人に達しました。特にサンベルトと呼ばれるアメリカの南部や西部の州では感染拡大が続いています。アリゾナ州では、わずか1週間で感染者の数は倍になっています。フェニックスの検査施設には、7時間から8時間待ちの長蛇の列ができていて、検査結果が出るまでにおよそ10日間かかることもあるということです。また、その陽性率は33%と高い状態です。新型コロナウイルス対策チームのデボラ・バークス調整官は、感染拡大が顕著なフロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州、アリゾナ州で経済活動再開を第1段階へ後退させるよう提言しました。また「感染が拡大している地域の市民はマスクをし、レストランやバーでの屋内飲食をせず、家でも集まらないでください。」とアメリカ市民に呼びかけました。フロリダ州では1日の新規感染者数がおよそ1万人となり、州内41の病院で集中治療室の病床が全て埋まっているということです。また、サウスカロライナ州でも感染拡大が起きています。タイドランズ・ヘルス病院では多くの医療スタッフに感染が確認され、州兵軍に支援を求めています。病院のCEOは「あっという間に集中治療室の病床が96%埋まってしまいました。」と語りました。
一方、今月7日、夏休み明けに学校を再開させるよう各州に強く働きかけると発言したトランプ大統領ですが、きのう、自身のSNSで学校を再開しなければ連邦政府からの補助金を絶つ可能性を示唆しました。また、トランプ大統領はCDC・疾病対策センターが掲げる学校再開に向けたガイドラインが厳しすぎると批判しました。CDCの学校再開に向けたガイドラインには、マスクの着用、机を6フィート、1.8メートル間隔にする、窓を開ける、カフェテリアと校庭の遊具を使わないなどが示されています。そんな中、感染拡大が続いているフロリダ州では、8月に学校再開を予定しています。タンパの教育委員会の会議で、生徒や教師、救急救命医は不安を訴えました。また、きのうニューヨーク州は学校再開の計画を発表しました。オンラインでの授業と合わせて保護者の判断で週に2-3日登校できるよう準備を進めているということです。ニューヨーク州のクオモ知事はトランプ大統領に学校再開を決める権限はないと批判し、「トランプ大統領は専門家の意見を聞くなというが専門家より生徒の健康を守る知識を持っているというのか。」と語りました。
トランプ大統領がCDCのガイドラインを批判したあと、CDCのレッドフィールド所長はCDCのガイドラインが学校再開の妨げになってはならないとして来週にもあらたなガイドラインを発表するとしています。幸い子供は比較的症状が軽いと言われる新型コロナウイルスですが、専門家は学校で働く教職員らへの感染、そして子供たちがキャリアとなり感染を拡大させることなどが心配されると指摘しています。