アメリカでの新型コロナウイルスの感染による死亡者数は、17万4000人となりました。新たな研究では、子供が感染を拡大するいわゆるサイレント・スプレッダーになる可能性があると発表されました。
アメリカ各地の大学で、学生が密集するパーティーが感染を拡大していると懸念されています。 学生による複数のパーティーが発覚したインディアナ州のノートルダム大学では、300人以上の感染者が確認されました。同じくインディアナ州にあるパデュー大学では、水曜日の夜、パーティーを行った生徒36人を停学処分にしました。カンザス大学ではキャンパス内のクラブハウスでクラスターが発生、89人の感染が確認されました。世界中からの留学生と全米の生徒を迎えるニューヨーク大学では、対面式の授業再開にあたり、感染検査用の設備を準備。検査は全ての生徒と職員に義務化されています。
フィラデルフィア小児病院の研究機関は、学校再開へのガイドラインとして、学校がある地域で、感染検査の陽性率が5%以下であることをあげていて、各地区の陽性率をウェブサイトで確認できるようにしています。 研究機関の所長は「毎週全米750の群を調査していますが、基準に合うのは20~30カ所のみです 。」と語りました。
小児医学誌に発表された研究によると、これまで考えられていたよりも子供が感染を拡大する可能性が高くいわゆる「サイレント・スプレッダー」になりかねないということです。 研究で、乳幼児から22歳までの年齢で、診療所を訪れたおよそ200人の患者を調べたところ、感染が確認された患者は、大人の入院している感染患者よりもはるかに多いウイルスを気道に保持していたということです。
専門家は、生徒が無症状でもウイルスを保持している可能性があることから、学校では検温を行うよりも感染検査を実施したほうが感染拡大防止につながるとしています。
全米で2番目に大きい学区をもつロサンゼルス郡では、きのう新学期を迎え、生徒80万人へのオンライン授業が始まりました。オンライン授業の取り組みで、全国的に生徒が使うコンピューターやタブレットが不足しています。ある保護者は「コンピューターは私が仕事に使っていて、授業用のタブレットが壊れて大変でした。学校に修理を頼みましたが、直らないままです 。」と語りました。そうした中、ロサンゼルス市内にあるボランティア団体が、今週、新たに子供向けに、無料の屋外学習設備を開設しました。現在、25人分のコンピューターが用意され、インターネットにもアクセス可能です。また、個人の端末を持ち込み、学習するための机も用意されています。勉強をみてくれるスタッフもいて、朝9時から午後2時まで開放しているということです。 団体の創設者は「子供を見るスタッフがいるので、保護者は子供を預けて仕事できます。」と話しています。
政府のワクチン開発に携わる関係者によるとワクチンが全米に幅広く出回るには来年の6月までかかる可能性もあるとしています。一方、アメリカのメディアが調査会社と共同で行なったの世論調査によると今、政府が認可したワクチンがあったら摂取するかどうかという質問に対し、摂取すると答えたのは44%にとどまっています。もともとアメリカでは宗教を含む様々な理由からワクチンを信用しない人たちがいる上に、オペレーション・ワープ・スピードと命名されたワクチンの開発は急ぎすぎているとして不安を感じている人も少なくないと専門家は語っています。