ハリケーンローラは強い勢力を保ちながらメキシコ湾を北上しており、今夜から明日の朝にかけてテキサス州とルイジアナ州の境界線付近に上陸すると予想されています。住民が一斉に避難する中、コロナ禍で、メキシコ湾沿いの町、ガルベストンの老人ホームでは、およそ50人のお年寄りをソーシャルディスタンシングを保ちながら安全に避難させるためバスを増やすなどの対応に迫られました。
新型コロナウイルスの新規感染者数と感染による死亡者数が先週と比べて減少しています。そうした中、急ピッチで進められるワクチンの開発に専門家は警鐘を鳴らしています。
現在、いくつかの開発中のワクチンに対し、最終段階に必要な3万人を対象に行う臨床試験が進められています。イリノイ大学シカゴ校では、今週からバイオテクノロジー企業「モデルナ」が開発したワクチンの臨床試験が始まりました。参加した被験者の50%には実際のワクチンが投与され、残りの50%には偽薬・プラシーボが投与されます。臨床試験を担うイリノイ大学 感染症学教授は、「ワクチン群とプラシーボ群を比較し、感染症状が少ないかを検証します。」と語りました。ワクチンは4週間で2回投与されます。イリノイ大学では1000人の被験者を目指していますが、特にウイルス感染による影響を受けやすい、65歳以上で持病を持つ人、また、黒人やヒスパニック系などのマイノリティーの被験者を求めているということです。
こうした中、トランプ大統領は、ツイッターで、FDA食品医薬品局の職員がワクチン開発を遅らせることで大統領の再選を妨害しようとしているとし、開発スピードに焦点を当てるよう求めました。
国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、急ぎすぎるワクチン開発への危険性を指摘しています。ファウチ氏はメディアのインタビューに「有効性が立証される前にワクチンが緊急使用許可を得るのは望ましくない」また、「尚早なワクチン配布は、開発中の他のワクチンの臨床試験で被験者の確保を難しくする」と語りました。
新型コロナウイルスのワクチンは世界中で大量に必要となることから有効なワクチンを複数開発し、それぞれを大量生産する必要があると専門家は指摘しています。