きのう、開発中の新型コロナウイルスワクチンの1つで、臨床試験中に副作用の可能性が分かりました。また、ワクチン開発中の企業9社が、安全性を最優先するとした、異例の共同誓約書を発表しました。
オックスフォード大学とイギリスの製薬大手「アストラゼネカ」が共同で開発中のワクチンでの臨床試験が、一時中断されました。イギリスの治験参加者の一人が深刻な病状にあり、副作用の可能性を調査しているということです。治験参加者の命に別状はないということですが、他の参加者にも同じような症状がないかどうかなどワクチンとの関連性を調べています。
また、きのう、「アストラゼネカ」を含むワクチン開発中の企業9社は、安全性を第一に優先するとした、異例の共同誓約書を発表しました。その中で、「安全性と効果が臨床試験の最終段階で確認されるまでは、たとえ緊急使用であっても承認を求めない」とし、「この共同誓約書により、ワクチンが厳格で科学的な試験を経ているとして信頼してもらえる」と述べています。
トランプ大統領は、11月3日の大統領選の前にワクチンが提供できると強調しています。今月7日には「ワクチンはもうすぐ提供できる。大統領選の前の可能性もある。」と語っています。ワクチンの認可が政治的な判断になっていると懸念する声も上がっており、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、11月までにワクチンが提供できる可能性について否定的です。一方で、ワクチンを開発中の企業の1つ、アメリカの製薬大手「ファイザー」は、10月中にワクチンができる可能性を示唆しています。
アメリカでは新型コロナウイルス感染による死亡者数は、19万人に届こうとしています。また、いまだ3万2000人が感染により入院しています。こうした中、大学での感染が問題になっています。全米で大学がある100の郡で感染者数が増加しているとメディアが報じました。これらの群では、大学が始まると各地から学生が集まり、人口の1割をしめている状態になっています。そのほとんどが新学期が始まった8月以降に過去最大の感染者数が報告されているということです。
感染者の多くが若者であることから、いまのところ死亡者数は増加していませんが、群当局は、無症状の若者が地域全体に感染を広げることを懸念しているということです。