社会に女性や有色人種への差別が根強く残っていた時代から、アメリカの宇宙開発を陰で支えた、NASA・航空宇宙局の黒人女性数学者、キャサリン・ジョンソンさんが亡くなりました。101歳でした。
ウェストバージニア州で生まれ育ち、1953年から30年以上、数学者としてNASAで働いたジョンソンさん。アフリカ系女性の職員はほんの一握りという中、1950年代のアメリカ初の有人宇宙飛行で軌道の計算を任され、のちに、アポロ11号の月面着陸にも貢献しました。
女性や有色人種に対する差別を乗り越えた鍵は、その並外れた技術でした。ジョンソンさんの娘、ジョイレット・ハイリックさんは、「当時NASAは特殊な計算機を使って、時に1ページにも及ぶ長い方程式を計算する仕事ができる人材を探していた。これに、母の上司が『キャサリンだ!』と母を抜擢したのです」と語っています。
表舞台に出ることのなかったジョンソンさんの宇宙開発への貢献は、3年前、アカデミー賞でノミネートされた映画「Hidden Figures」に描かれたことで注目を集め、ジョンソンさんは、科学の分野で活躍する黒人女性のパイオニアとして多くの人に知られるようになりました。
2015年にジョンソンさんに自由勲章を授与したオバマ前大統領は、ツイッターに追悼コメントを寄せ、「偏見に屈せず自らの道を切り開いた」とその功績をたたえています。