かつて丸腰の黒人少年を射殺したものの裁判で無罪となり、激しい批判を浴びたジョージ・ジマーマンさんが、犠牲者の遺族を相手取り訴えを起こしました。事件は7年前、ジマーマンさんが、フロリダ州で当時17歳の黒人少年、トレイボン・マーティンさんを射殺し、その後、陪審員裁判で無罪の評決を受けたものです。
そのジマーマンさんが先週、裁判に不正行為があったとして、遺族や遺族側代理人、州警察、当時の担当検事などを相手取り、提訴しました。ジマーマンさんの主張は、事件当時犠牲者のマーティンさんと電話中だったと証言した女性の話が「検察側によるでっち上げだ」というもので、ジマーマンさんは、賠償金として1億ドル(約110億円)を求めています。
今回ジマーマンさんの代理人を務めるクレイマン弁護士は、過去にも極端な陰謀論を掲げて黒人の政治家などを訴えてきた人物です。かつて、オバマ前大統領の国外追放を求めて嘆願書を提出したこともあり、これによって一部の裁判所からは出入りを禁止されています。
一方、ジマーマンさんは無罪となった後もその問題行動がたびたび話題となっていて、3年前には、マーティンさんを射殺した際に使った銃をオークションに出品し、物議を醸しました。今年は事件をジマーマンさん側の視点から描いたドキュメンタリーが公開され、このタイミングで訴訟を起こしたことについて、宣伝を兼ねた話題作りではないか、などの憶測を呼んでいます。