IT大手・アップルは20日、テキサス州オースティンに国内での生産の拠点となる新施設の建設を開始したと発表しました。アップルのティム・クックCEOは、新拠点の建設に総工費10億ドルを投じ、将来的に1万5000件の雇用を生み出す計画だとしています。またクックCEOは、来月出荷予定の専門家向けパソコン「Mac Pro」の生産を、オースティンの自社工場で始めたことも明らかにしました。工場には、トランプ大統領も視察に訪れました。
Mac Proをめぐっては、過熱する米中貿易摩擦の影響で、一時、アメリカ国内から中国に製造拠点を移すとも報じられましたが、最終的にアップルは、Mac Proについては、国内で生産を行うことを決めていました。一方で、iPhoneなど主力製品の多くは、中国で生産が行われています。
トランプ政権は来月、制裁関税第4弾として、中国からの一部輸入品の関税を引き上げる予定で、対象にはスマートフォンも含まれています。香港の民主化デモ抑圧で中国への批判が高まる中で、アメリカ国内での生産に力を入れることは合理的とも受け止められますが、クックCEOは、「中国からの撤退は考えていない。ユーザーたちにとってそれは良い結果を生まない」と話し、販売市場としても巨大な中国とは良い関係を維持したい考えも述べました。
トランプ政権は現在、対中貿易について、第1段階の合意に向けて中国側と協議を続けています。合意に至らない場合は、来月第4弾の制裁関税が発動される見通しですが、合意をめぐってはこれまでもアメリカと中国との足並みが揃わない様子が見られ、進展を遂げるかは不透明な状況です。