世界最高峰の山、エベレストで、アメリカ人を含む登山者が頂上付近で死亡するケースが相次いでいます。先週、 ユタ州在住の登山家、ドナルド・キャッシュさん55歳が、エベレストの登頂に成功したものの頂上で倒れ、救助隊が救命措置にあたりましたが、死亡しました。
週明けには、コロラド州のクリス・クーリッシュさん62歳が、やはり登頂に成功した後、下山途中に倒れて死亡しました。2 人の死因はともに高山病とみられています。4月と5月は登山シーズンとして知られますが、今年は、エベレストの頂上付近でこうしたケースが相次ぎ、同様の症状で10日間に11人が死亡しました。
エベレストの登山客を管理するネパール政府は今シーズン、例年より多い381人に登山の許可を出しました。しかしルートが限られる上、多くの人が天候の良い日を選んで行動するため、頂上付近では、列をなした登山者が長時間にわたって待つ事態になっています。
標高8000mを超えた頂上付近は、極端に酸素が薄く人が生存する環境に適していないことから「デスゾーン」と呼ばれます。専門家は、この地点に長時間とどまることは命を危険に晒すと指摘しています。また一部では、ネパール政府が登山者の人数を制限するよりも、観光目的の人にも登山の許可を出して経済的利益を優先していると指摘し、非難する声も出ています。