かつて世界を震撼させた、過激派組織ISISの最高指導者が、アメリカ軍の急襲作戦によって死亡しました。 27日午前9時過ぎ、トランプ大統領はホワイトハウスで会見し、アメリカ軍の特殊部隊が行った作戦で、ISISの最高指導者、バグダディ容疑者の死亡を伝え、「負け犬のように、臆病者のように死んでいった。もう無実の人間が処刑されることはない。再び安全な世界を取り戻した」と語りました。
発表によりますと、アメリカ軍はヘリ8機でイラクからシリア北西部のバグダディ容疑者の潜伏先へ向かい、潜伏先では仕掛けられた罠をかわしながら、軍用犬を使って容疑者を地下トンネルに追い詰めました。追い込まれたバグダディ容疑者は、連れて逃げていた子供3人を巻き添えに、トンネルの中で自爆ベストを爆発させたということです。トランプ大統領はおよそ2時間に及んだこの作戦の一部始終をホワイトハウスのシチュエーションルーム(危機対策室)から見ていたと話し、バグダディ容疑者の様子を「トンネルの奥に追い詰められ逃げる間、泣き叫んでいた」と話しました。作戦で、ISISの戦闘員など複数の犠牲者が出たものの、アメリカ軍側に犠牲者は出なかったということです。
過激派組織ISISは2014年、バグダディ容疑者を指導者とした「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言し、イラクとシリアに勢力を拡大。"処刑"と称して人質の首を切って殺害するテロ行為で世界を震撼させ、アメリカ人4人も犠牲になり、その一人、人権活動家のケイラ・ミュラーさんの名前は、今回の米軍の急襲作戦のコードネームに使われました。
トランプ大統領は、ロシアやトルコには協力を得るため、急襲作戦であることは伏せつつも、情報の一部を事前に伝えていたことも明らかにしました。ただ一方で野党民主党には、情報が漏らされることを警戒して、作戦について一切知らせなかったとも話し、政権と民主党との溝の深さを浮き彫りにしました。民主党トップのペロシ下院議長は声明で、作戦の成果自体は評価しつつも、「議会下院は事前に情報を知らされるべきだが、今回は、議会よりもロシアに伝えられた」と皮肉っています。