アメリカ大統領選、民主党の指名争いにいち早く名乗りを上げた候補者のひとり、フリアン・カストロ氏が、選挙戦から撤退しました。カストロ氏はオバマ前政権で住宅都市開発長官を務め、今回の選挙戦では唯一のヒスパニック系の候補者として、多様性の重要さを積極的に訴えてきました。最近では支持率が低迷していたうえ、資金不足に直面したことで、この2ヵ月間、討論会に出場できない状況が続き、今月2日のビデオメッセージで「今は自分の時代ではないと思った」と、選挙戦からの撤退を表明しました。
2019年の第4四半期で最も多くの政治資金を集めた民主党の候補者は、バーニー・サンダース上院議員で、3450万ドル。それに、2470万ドルを集めた、インディアナ州サウスベンド市長、ピート・ブティジェッジ氏、最有力と目されるジョー・バイデン前副大統領が2270万ドルと続きました。
カストロ氏は撤退表明から間もない6日、支持率で上位につけているものの最近は伸び悩みが目立っていたエリザベス・ウォーレン上院議員の支持に回ることを発表。ニューヨークで行われたウォーレン氏の支持者集会に駆けつけ、「私が繰り返し訴えてきた、『すべての国民が必要不可欠な存在』というビジョンをウォーレン氏と共有している」と語りました。
未だ14人が乱立する民主党の候補者指名争いは、来月3日にアイオワ州で最初の投票が行われますが、一方で、今月にも始まるとみられる弾劾裁判で、現職の上院議員でもあるウォーレン氏やサンダース氏を含む5人の候補者は選挙キャンペーンの中断を余儀なくされる可能性があります。またバイデン氏もウクライナ疑惑の重要な参考人として召喚される可能性があり、こうした状況下でそれぞれがどう選挙戦を乗り切るかが、当面の課題となりそうです。