多くの不法移民を法的手続きなしに エルサルバドルにある過酷な環境で「世界最恐」と言われるテロリスト監禁センター、シーコットに 送り込んだことについて法廷闘争が行われる中、トランプ政権は第2陣を準備。さらに今後はアメリカ人をシーコットに収監する可能性も示唆しています。
トランプ政権 は3月にギャングメンバーとされる不法移民 238人を 法的手続きなしに 国外追放し、エルサルバドルの テロリスト監禁センター、シーコットに 送り込みましたが、このとき連邦地方裁判所が追放の一時差し止めを命じたにもかかわらず国外追放はそのまま遂行され、意図的に裁判所命令を無視した可能性も出ています。
エルサルバドルは国外追放された不法移民を受け入れる見返りとしてアメリカが1年間600万ドルを支払うことで合意しています。トランプ政権はこれを、アメリカ国内で収監させるよりはるかに安上がりとしていますしかしうち1人、キルマー・アブレゴガルシアさんについては間違って国外追放されたことが明らかになり連邦最高裁がトランプ政権に帰国させる計画を進めるよう命じました。
しかしトランプ政権は間違いがあったことは認めながらもアメリカに連れ戻すことは ないとし連邦最高裁の命令に従わない意向で連日、アメリカのメディアを騒がせています。
トランプ政権はアブレゴガルシアさんがギャングメンバーであることに変わりはない。また、すでにアメリカの管轄外でエルサルバドルの問題だとして帰国に向けて動く気配を見せていません。
今月ホワイトハウスを訪れたエルサルバドルのブケレ大統領は記者団の質問に対し、アブレゴガルシアさんをアメリカに連れ返すつもりは一切ないとしました。そうした中 民主党の議員が次々とエルサルバドルを訪れ不法移民であってもアメリカでは全ての人が法的手続きを踏む権利があると訴えました。
アブレゴガルシアさんが住んでいたメリーランド州選出のバンホレン上院議員は17日、本人との面会を果たしました。バンホレン上院議員によるとアブレゴガルシアさんは現在シーコットではなく別の施設に収容されているということです。
トランプ政権はギャングとみられる人たちをさらに国外追放しシーコットに収監する準備を進めていましたが19日(土)午前2時という緊急性がうかがえる異例の時間に連邦最高裁判所が国外追放停止の命令を下しました。
トランプ大統領は最高裁に審理のやり直しを要求すると同時に今後は市民権を持つアメリカ人の犯罪者もシーコット送りにすることを考えていると話しています。アメリカ人の国外追放は憲法に違反しますがそこにも抜け道があると専門家は語ります。
ニコラス・リカルディAP通信記者
「トランプ大統領がアメリカ人を
エルサルバドルの刑務所に送り込む方法はあるかもしれません
強制的に国外追放できるのは移民だけなので
まず市民権をはく奪する必要があります」
生まれた時から市民権を持つ人は無理でもまずは移民としてアメリカに入りその後市民権を得た人なら市民権のはく奪、そして国外追放もありうるということです。トランプ政権は合法的にこれを実行する方法を模索中だということです。
人権団体は、国外追放できる人の範囲を徐々に広めるトランプ政権の動きはアメリカ人を含め全ての人が恐怖を感じるべきことで、たとえ政府であっても法的手続きなしに国外追放などの判断を下すことを許してはならないと警告しています。