FBI連邦捜査局が不法移民をかくまったとして裁判所の判事を逮捕するという前代未聞の事態となりました。司法と政権との対立がさらに深まっています。
FBI連邦捜査局は先月25日(金)ウィスコンシン州、ミルウォーキーのハンナ・ドゥガン判事を、不法移民の逮捕を妨害したとして逮捕しました。
トランプ政権の強硬な 不法移民の強制送還に対し裁判所が待ったをかける場面がこれまで複数あり司法と政権とのあつれきが高まっていた最中の出来事に連邦裁判所の前では多くの人たちが訪れ判事の逮捕に抗議しました。
デモ参加者
「ドゥガン判事はミルウォーキーの白人、黒人、ラテン系、アジア系などすべてのコミュニティから愛され尊敬されている人です」
ことの発端は、ハンナ・ドゥガン判事が先月18日(金)同居人に対する暴行の罪で告発されたエドアルド・フロレス・ルイズ容疑者(30歳)の裁判を担当。そこにICE:移民・税関捜査局が不法移民である フロレス・ルイズ容疑者を拘束するため
法廷の入り口で待機していました。
しかしICEの捜査官が持っていた逮捕状が裁判所の正式なものではなかったためドゥガン氏は捜査官に退出するよう指示しフロレス・ルイズ容疑者と弁護士を裏の出口から逃したということです。それに気づいた捜査官がフロレス・ルイズ容疑者を裁判所の外まで追いかけ拘束しました。
ドゥガン判事は1週間後に逮捕され、その後保釈されています。専門家は、
判事を有罪にするのは難しいとしていますがFBI長官みずからが手錠をはめられ連行される判事の姿をSNSに投稿していることなどから政権にはむかう司法に対する見せしめが目的だという見方も出ています。
また、トランプ政権が移民を拘束するため裁判所を待ち伏せの場所にしていることを
批判する声が出ています。
人権団体事務局長
クリスティン・ニューマン・オルティスさん
「問題は多くの移民がいま、裁判所に行くことを恐れていることです」
移民が権利の法的手続きを求めたり証言台に立つことを恐れる事態が懸念されています。
先月29日(火曜日)ウィスコンシン州最高裁はドゥガン氏について、判決が出るまで判事としての職務を停止する判断を下しました。
就任から100日で歴代大統領の中で最も多い 140以上の大統領令に署名した トランプ大統領ですがその多くについて裁判所が合法性を疑問視して妨げとなっています。
今回の事態はそれに対するトランプ大統領の宣戦布告とも言われ三権分立が揺らぐ事態が懸念されています。