ローマ教皇庁は21日、カトリック教会の指導者フランシスコ教皇が亡くなったと発表しました。88歳でした。カトリック教会の伝統的な組織の中で、 貧富の格差や移民問題に積極的に取り組み、同性愛や女性活用に寛容な姿勢を示すリベラル派として保守派と対立することもありました。しかし、常に弱者に寄り添い、自らも質素な生活を送る謙虚な人柄は、世界で多くの人々に愛されてきました。
ローマ教皇庁は21日(月曜日)、フランシスコ教皇がバチカンの自宅で亡くなったと発表しました。フランシスコ教皇は2月に肺炎で5週間入院、一度は退院し、亡くなる前日の20日(日曜日)にはアメリカのヴァンス副大統領と会談した後、 復活祭、イースターを祝うために集まった信者の前に姿を見せ歓声と拍手を浴びました。その翌朝、脳卒中を起こし、心不全で亡くなったということです。
2000年の歴史を持つ教皇庁に新風を吹き込んだフランシスコ教皇は南米アルゼンチンでイタリア移民の家族のもとに育ちました。男性優位の教皇庁で、女性活用を検討したほか、「同性愛は犯罪ではない」と語りLGBTQコミュニティーに対して寛容な立場をとりました。
また、移民問題にも長年取り組み、2015年にアメリカを訪問した際には、 「移民家族の息子として、移民家族によって築かれたこの国に迎えられたことを嬉しく思います」と話しました。メキシコのアメリカ国境近くでミサを行い、「強制送還という人類の悲劇」に直面する人々が「開かれた心」を持つよう祈りました。帰りの機内で記者の質問に答え、国境の壁建設を掲げる当時の大統領候補だったトランプ氏について、「壁を作ることばかりを考え、橋を架けることを考えない人は、キリスト教徒ではない」」と発言。これに対し、トランプ氏は、人の信仰を疑うことは「恥ずべきこと」だと反論していました。
また、再選したトランプ大統領が進める不法移民の強制送還について「恥ずべき行為」と非難。アメリカの司教たちに書簡を送り、「貧困、不安、搾取、迫害、または深刻な環境の悪化により自らの土地を離れた人々を強制送還する行為は、多くの人々の尊厳を傷つける」と語りかけました。
トランプ大統領はホワイトハウスで行われたイースターのイベントで追悼の意を述べました。
フランシスコ教皇の葬儀は26日(土曜日)に行われる予定で、トランプ大統領を含め 各国の首脳が参列する意向を示しています。