トランプ大統領が先週末、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの指導者を、アメリカ大統領専用の別荘「キャンプデービッド」に極秘に招き、和平交渉を行う計画だったことを明かしました。2011年9月11日のアメリカ同時多発テロから丸18年を迎える目前だっただけに、物議を醸しています。
トランプ大統領は7日、ツイッターで「この日曜日、タリバンの指導者とアフガニスタンの大統領を『キャンプデービッド』に招く予定だったが、取りやめた」と、初めて明らかにしました。会談はトランプ氏自ら提案したもので、アフガンでの紛争の終結に向けた駐留米軍の引き上げなどについて、極秘に話し合う計画でした。しかし会談予定日を間近に控えた5日、アフガンの首都カブールでアメリカ兵一人を巻き込む爆弾テロが発生し、タリバンが犯行声明を出したことで、トランプ氏が急遽、会談の中止を決めたということです。トランプ氏は、取り決めを守る意思が見られない行動だとし、「人々を犠牲にして交渉で優位に立とうという考えだろう。交渉は"死んだ"」とタリバンを厳しく非難しました。
2001年の同時多発テロを受け米軍の介入が始まったアフガニスタンの紛争は、「アメリカ史上最長の戦争」と言われます。これを収束に向かわせ、現地から米軍を撤退させることは、トランプ氏の選挙公約の一つであり、オバマ前大統領の目指した着地点でもありました。ただ、テロから丸18年目を迎えようという中、テロを主導した国際テロ組織「アルカイダ」と協力体制にあったとされるタリバンの指導者を招こうとしたトランプ氏の判断には、与野党から批判が噴出しています。特に、テロ発生当時、ブッシュ政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏の娘で、共和党の下院議員、リズ・チェイニー氏は、「同時テロ以降、キャンプデービッドはアメリカの指導者がテロ対策についての協議を重ねてきた場所。そこにタリバンの人物は一歩たりとも足を踏み入れてはいけない」と、苦言を呈しました。
一方、今回タリバンとの交渉のテーブルを失い、現在1万4000人のアフガン駐留アメリカ兵を8600人まで減らすというトランプ氏の計画も頓挫した形で、今後どのように和平に向けた交渉を進めて行くのか、不透明な状況です。