トランプ大統領が、汚職事件などで罪に問われた著名人ら11人に大統領権限で恩赦を与え、物議を醸しています。恩赦を与えられた一人、ロッド・ブラゴジェビッチ元イリノイ州知事は18日、8年間収監されていたコロラド州の刑務所を出所し、地元イリノイ州に戻りました。ブラゴジェビッチ氏は、2008年のオバマ前大統領の当選にともなって空席となった、イリノイ州上院議員の議席をめぐって、賄賂を要求した罪などに問われ、その当時流出した「金ほどの価値がある。でもタダでは渡せない」などと話す様子を捉えた証拠音声は、衝撃をもって伝えられました。
ブラゴジェビッチ氏は、トランプ氏がプロデュースしたテレビのリアリティー番組「アプレンティス」への出演でも知られています。トランプ氏はブラゴジェビッチ氏本人と話したのは「数回程度」として個人的な関係を否定し、その上で恩赦について「私にはその権利がある。法執行機関のトップなのだから」などと述べました。
同じ日に恩赦を与えられた11人には、トランプ氏の個人弁護士、ジュリアーニ氏がニューヨーク市長時代に指名し、のちに脱税などで有罪となった、ケリク元ニューヨーク市警察本部長、かつて金融界で「ジャンク債の帝王」と呼ばれ、のちに証券取引法違反で有罪となりすでに刑期を終え出所したミルケン氏、NFL・アメリカプロフットボール、サンフランシスコ・フォーティーナイナーズの元オーナー、デバルトロ氏など、各界の著名人や権力者が顔を揃えているほか、トランプ氏の選挙陣営に献金した建設会社の幹部も含まれています。
こうした人物を一斉に恩赦した狙いについて、選挙戦を有利に運ぶためとの見方が一部であるほか、すでに有罪となっているトランプ氏の盟友、ロジャー・ストーン被告を恩赦するための布石ではないかとの憶測も飛び交っています。一方で、恩赦の手続きは司法省を介すのが通例で、トランプ氏の独断による恩赦は司法の独立を脅かすと、批判も出ています。