ウクライナ疑惑をめぐるトランプ大統領の弾劾裁判が進む中、トランプ氏に不利になり得る情報が相次いで流出し、裁判の風向きが変わるかどうかが注目されています。 裁判では、検察官役の民主党下院議員団と、トランプ氏の弁護団が、トランプ氏による権力の乱用の有無をめぐってそれぞれ意見を述べました。下院議員側が、権力の乱用があったのは明白だとして、ホワイトハウスの内情を知る証人の召喚を求めたのに対し、弁護側は、トランプ氏の行為はどれも罷免に値しないと主張。新たな証人は必要ないとしました。
証人を召喚するには、上院議員100人中過半数の賛成が必要で、与党共和党が53議席を占める中では困難とされていますが、そうした中メディアは、ウクライナ疑惑に関し、トランプ氏に不利になり得る新たな情報を相次いで報じています。
24日には、2年前に突然解任されたヨバノビッチ前駐ウクライナ大使について、トランプ氏が自ら解任を指示したと見られる音声が流出。その中で、トランプ氏の個人弁護士、ジュリアーニ氏との関係が深く、去年10月に選挙資金法違反で起訴されたレブ・パーナス被告が「ヨバノビッチ氏はあなたがどうせ弾劾されると言いふらしている」と話すのに対し、トランプ大統領とみられる人物が「彼女をクビにしろ。明日にでもやれ」などと返す様子が確認できます。トランプ氏はこれまで被告について、一貫して「全く知らない」と話していました。
今週には、ボルトン前大統領補佐官が発表予定の書籍の中で、「ウクライナがバイデン氏の捜査を始めるまで、ウクライナへの軍事支援の凍結を続けるよう、トランプ氏から指示された」と明かしたと報じられました。これまでトランプ氏は、バイデン氏の捜査と軍事支援金とは関係がないとしていました。
これまでのトランプ氏の主張と食い違う情報が、相次いで報じられる中、特にボルトン氏の情報は、共和党の穏健派とされるロムニー上院議員やコリンズ上院議員に重く受け止められ、2人は、証人を召喚する必要性について言及し始めています。共和党ではほかに2人の議員に造反の可能性があると言われています。共和党としては、証人の召喚を阻止して、早い段階でトランプ氏を無罪に持ち込みたい考えですが、4人全員が造反に動けば党の思惑が崩れる可能性もあると指摘されています。