2012年コネティカット州のサンディフック小学校で起きた銃乱射事件。アメリカ史上最も悲惨なスクールシューティングのひとつと言われた事件に関連する訴訟で、事件に使われた銃を製造した銃器メーカーが7300万ドルを支払うことで和解が成立しました。銃のメーカーがこの規模の補償に応じるのは初めてで、銃業界に衝撃が走っています。
事件は2012年12月、コネティカット州ニュータウンで起きました。当時20歳の男が母校であるサンディフック小学校に侵入し、廊下と教室にいた教師と児童に向けて銃を乱射しました。まだ幼い小学1年生20人と 大人6人が死亡し、男はその場で自殺しました。事件から2年後の2014年、犠牲となった9人の遺族が、事件で使用された半自動ライフル銃を製造した銃器メーカー「レミントン・アームズ」を相手取り訴訟を起こしました。
遺族側は、レミントンが一般市民、特に若者に向け、ライフル銃を戦闘用の武器として宣伝し、販売したことで 州の消費者保護法に違反したとして訴えていました。 犠牲者の母親ニコル・ホックリーさんは「素早く、効率よく殺せるよう設計されていたのです。5分で154発撃ち、6歳の息子を含む罪のない26人が殺されました。」と語りました。弁護側は、「販売した銃が犯罪に使用されてもメーカーの責任を問うことはできない」とする連邦法で 銃器メーカーは守られていると反論していましたが、2019年に 連邦最高裁は訴訟を認める判断を下しました。
15日火曜日、遺族側が会見を行い、銃器メーカーが7300万ドルを支払うことで和解が成立したと発表しました。銃器メーカーがこの規模の賠償責任負うのはアメリカ史上初めてです。
犠牲者の母親フランシーヌ・ホイ―ラーさんは「本来ならば、15歳の息子が今隣にいるでしょう。 でもベニーは永遠に15歳にはなれません。」と会見で語りました。当時6歳の息子ベンジャミン・ホイ―ラーくんを失った両親は、このような 銃撃事件が繰り返されないためにと、この訴訟を続けてきました。ABCニュースのインタビューに父親のデイビッド・さんは「他の父親が私のように苦しむことがないように、これを機に何かを変えなければと思いました。」と語りました。また、母親のフランシーヌさんは「私たちは、今もベンジャミンの親なのです。」と語りました。今回の和解で、これまで難しいとされてきた犯罪に使われた銃のメーカーや販売元の責任を追及する訴訟が今後増えるとみられています。
レミントンはビデオゲームに実在の商品をプレーヤーが小道具として使ったり、背景に商品名を載せたりするプロダクトプレイスメントと呼ばれる手法で、若者をターゲットに宣伝していたということです。レミントンはすでに破産申請していて、賠償金は保険会社が支払うことで合意しています。