ニューヨーク市の地下鉄では暴行事件などの犯罪が増加しており、今週から新たな安全対策が始められました。
ニューヨーク市の交通機関での犯罪は、去年の同じ時期と比べて61%増加しており、先月にはホームで電車を待っていた女性が、ホームレスの男に突き飛ばされ、死亡する事件が起きました。そうした中、18日金曜日、ニューヨークのアダムズ市長は地下鉄の安全対策のあらたな計画を発表しました。会見でアダムズ市長は「ホームレスの人がいて、けんかが起き、混乱が生じるような電車は誰も利用したくありません。」と語りました。
この計画では、警察、ソーシャルワーカー、精神疾患の専門家らがチームを組み、地下鉄の駅構内や車内を巡回し、違法行為などの取り締まりを強化するとともに、1000人以上いるとみられる地下鉄内で暮らすホームレスの人に接触し、支援していくというものです。21日月曜日から開始し、今後は約30チームが配備される予定で、22日火曜日までに100人のホームレスの人に接触したということです。
地下鉄とホームレス問題は長年にわたり続いており、すぐに改善できる問題ではないとアダムズ市長はいいます。「地下鉄にいるホームレスの人に接触し、住居や支援をしていきます。非人道的な生活をしている彼らを私たちは見て見ぬふりをしてきました。」
18日金曜日~21日月曜日までに、地下鉄の乗客がナイフで刺されたり、鉄パイプで殴られるなど少なくとも8件の暴行事件が起きましたが、このうちホームレスの人が関与した事件は1件にとどまっています。ホームレスを支援する団体は、ホームレスの人や精神疾患のある人は、加害者ではなく被害者になる場合が多く、政治家は地下鉄での犯罪が増加してる問題の矛先をホームレスの人に向け、政策批判をかわしているだけだと指摘しています。