ニュージャージー州のある高校の卒業生や教職員ら100人以上に脳腫瘍が発症する謎の事態が起きています。学校と病気との因果関係について調査が進められています。
問題が発覚したのは、ニュージャージー州のコロニア高校です。主に1975年から2000年の間に卒業した生徒と教職員ら、合わせて100人以上に脳腫瘍が発症していました。1989年の卒業生であるアル・ルピアノさんは、27歳の時にまれな脳腫瘍を発症しました。ルピアノさんの妻と妹も、去年の同じ日にまれな脳腫瘍と診断され、妹は悪性脳腫瘍で今年2月に亡くなりました。3人の共通点は同じ高校を卒業していることでした。ルピアノさんは「まれな聴神経腫瘍を夫婦で発症し、妻と妹が同時に脳腫瘍を発症するなんて偶然とは思えませんでした。」と語りました。
環境に何らかの異常があるのではないかと考えたルピアノさんは、同じ地域で脳腫瘍や希少なガンを発症した人がいたら知らせてほしいとソーシャルメディアで呼びかけました。すると、脳腫瘍を発症した100人以上がルピアノさんに連絡、全員がコロニア高校の卒業生、または教職員でした。そのおよそ半数が、悪性脳腫瘍だったということです。アメリカがん協会のアリフ・カマル医師は「脳腫瘍は希少で、この期間にこれだけの人が同じ高校で発症していることは心配です。脳腫瘍が発見できる程度に大きくなるには時間がかかります。」と語りました。
こうした事態を受け、高校の敷地では放射線の測定が行われました。行政当局は、これらの事例が関連しているのか調査を進めています。ニュージャージー州のマーフィー知事は「因果関係についてはまだ分かりませんが、この痛ましい出来事はコロニア高校と関連しています。真摯に受け止めています。」と語りました。
現在、コロニア高校にはおよそ1300人の生徒が在籍しています。高校と脳腫瘍の因果関係については行政による調査が進められていますが、ルピアノさんは自身も独自で調査を進めており、高校が建設されたときに放射性物質で汚染された土が運び込まれ、それが影響しているのではないかと考えているということです。