ハリウッドの全米脚本家組合がストライキに突入しました。大規模なストライキは2007年以来、15年ぶりとなります。
テレビや映画の脚本家らでつくられる全米脚本家組合は、2日火曜日、1万1500人以上の大規模なストライキに突入しました。組合の要求は報酬の前払い、最低賃金の引き上げ、番組での脚本家増員、また、脚本家の職業を脅かす可能性のある人工知能の使用規制などです。
組合は、ネットフリックスやディズニーなど大手スタジオが加盟する全米映画テレビ製作者協会と6週間にわたり、交渉してきました。協会側は、報酬の増加や動画配信の2次使用料などについての回答を提示しましたが、合意には至りませんでした。デモの参加者は「スタジオの利益は膨大で作家にも配分すべきだ。脚本家の多くはロサンゼルスに住む余裕がない。」と語りました。
動画配信サービスの台頭で、映像制作業界の状況は大きく変化しました。従来のテレビドラマはワンシーズン22話前後でしたが、配信では4話~10話と短くなりました。脚本家はシーズンごとに起用されますが、報酬は1話ごとのため、安定した収入の維持が難しくなりました。エンターテインメント業界弁護士は「番組の数は急増していますが、年間のエピソードの制作数は減っています。」と語りました。
ストライキの影響で、深夜のトーク番組は再放送に切り替えられました。ドラマや映画の制作が遅れる可能性もあります。また、ストライキが長引けば、機材レンタル会社やケータリング会社など、地域の経済に大きな影響を及ぼします。機材レンタル会社代表は「きょう、すぐにビジネスが悪化しました。多くの業界関係者は、生活の見通しが立たなくなります。」と語りました。2007年のストライキは、100日間続き、ロサンゼルス経済に20億ドル以上の損失を与えたと推定されています。
今回は動画配信サービスや AI・人工知能などが交渉の争点となっていますが、2007年のストライキでは、DVDでの2次使用料やインターネットなど新しいメディアでの放送などについてが争点でした。1985年のストライキでは、VHSやベータマックスを含むホームビデオでの2次使用料が争点となり、時代の変化を感じます。