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連邦最高裁 人工妊娠中絶をめぐる文書が漏えいし波紋広がる 2022.05.06
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連邦最高裁が、女性の中絶する権利を認めた過去の裁判の判断について、これを覆すことを示す文書が漏えいしました。人工妊娠中絶の賛成派、反対派がそれぞれデモを行い、波紋が広がっています。

連邦最高裁では、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を原則禁止とするミシシッピ州の法律が、憲法違反にあたるかどうかについての審理が進められています。人工妊娠中絶をめぐっては、最高裁が1973年の裁判で、憲法で自由が保障され、プライバシーが保護されているとして女性が中絶を選ぶ権利を認める判断を下し、これまでの判例となってきました。

そうした中、2日月曜日、政治サイト「ポリティコ」は、人工妊娠中絶について最高裁判事がまとめた意見書の第1稿だとする 内部文書を掲載しました。文書は保守派のサミュエル・アリート最高裁判事によるもので、「人工妊娠中絶を認めた1973年の判断は間違っており、覆されるべきだ」と書かれています。5人の保守派判事がこの意見に同意しているとされています。最高裁は、漏えいした文書を本物だと認めましたが、最高裁や判事の最終的な立場を示すものではないとしています。今回の情報流出は、最高裁では前例のない事態で、ジョン・ロバーツ長官は声明を発表し「信頼への裏切行為で最高裁を侮辱する行為だ」と述べ「最高裁の仕事は、これに影響されることはない」としています。

最高裁判所の前には人工妊娠中絶の権利に賛成派、反対派がそれぞれ集まり、デモが行われています。ABCニュース記者「将来、娘さんが妊娠中絶を選べないかもしれません。」人工妊娠中絶の権利に賛成派 「ひどくて、気が滅入ります。ショックで信じられません。他の国に移住したいぐらいです。」ABCニュース記者「勝利を手にした気分ですか?」人工妊娠中絶の権利に反対派「その通りです。文書を見たとき、みんなにメッセージを送りました。みんなで歓喜しました。」

人工妊娠中絶についての世論調査では、70%が 女性自身と医師に判断を任せるべきだと答えています。しかし、1973年の中絶を認める判断が最高裁で覆された場合、26の州がすぐにでも人工妊娠中絶を禁止する可能性があります。すでに、南部などの州では、人工妊娠中絶を制限する法律を強化しています。3日火曜日、オクラホマ州では、生後6週間以降の人工 妊娠中絶を禁止する法案が施行されました。

オクラホマ州在住で2人の子供をもつシングルマザーの女性は、州内の産婦人科に連絡したところ、中絶手術を受けるためにはカンザス州まで行くよう言われたといいます。ABCニュース記者「予約を取ろうと電話したとき、どんな会話だったのですか?」シングルマザー「私は動揺して泣き出しました。どうすればいいのか分からず、とにかく信じられませんでした。ここではできないけど、他州の産婦人科を探すのを手伝うと言ってくれました。」

この最高裁の判決が出るのは6月と予想されていますが、最高裁が自らが下した判決を覆した場合、今まで50年近く憲法で守られていたはずの権利がなくなり、各州がそれぞれルールを変更することが可能になります。実は、最高裁が自らの判決を覆すケースはこれまでもありました。しかし、それは自由や権利を拡大する判決で、すでにある国民の権利を奪ったり縮小するのは前例がないということです。漏えいした文書には今回は特例であると記されていますが、前例を作ったことで、今後、同性婚やLGBTQの雇用均等などについての判断が覆される可能性が指摘されています。

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