全米各地で警察に対する抗議デモが続く中、トランプ大統領は、警察改革の大統領令に署名しました。
トランプ大統領は昨日ホワイトハウスのローズガーデンで、警察官の過剰な取り締まりなどを防ぐための警察改革の大統領令に署名しました。 大統領令には、警察官に対し武力の使用についての基準を厳守すること、取り締まりの際は事態を悪化させないよう務めること、警察官の暴力など職権乱用の行為は記録し、情報を共有するデータベースを作成することなどが盛り込まれています。
また、首を押さえつける、いわゆる「チョークホールド」については、警察官の命が脅かされた場合以外は認めていませんが、全面的な禁止はしていません。 署名の前、警察官によって殺害された複数の黒人被害者の遺族との面会に少なくとも1時間を費やしたトランプ大統領ですが、演説では、抗議デモの要となっている警察組織の人種差別については言及しませんでした。
警察組織の解体や大幅な予算削減を求める声も高まっていますが、トランプ大統領は、過剰な取り締まりを行う警察官は非常に少数だとして、この日も警察を擁護する発言に演説の大部分を費やしました。
一方、先週金曜日にジョージア州アトランタで起きたレイシャード・ブルックスさんの事件について、ブルックスさんを射殺した元警察官は2017年にも銃の使用で処分を受けていたことがわかりました。ブルックスさんは逮捕時にテーザー銃を奪い、警察官の方に向けながら逃走していますが、テーザー銃は殺傷能力の高い武器ではないことから射殺は正当でなかったと遺族側は主張しています。
しかし、今回、元警察官を罪に問うかを決める地方検事は約2週間前、抗議デモのあった夜に、複数の警察官が取り締まりをしていた学生たちに向けてテーザー銃を使用した事件では、殺傷能力の高い武器を使用したとして当時の警察官6人を起訴しています。 ブルックスさんの事件でも、テーザー銃が殺傷能力の高い武器とみなされるかが注目されていて、地方検事は早ければ今日、元警察官に刑事責任を問うかの判断を下すと見られています。