政府の予算案が通過しないことによるDHS国土安全保障省の閉鎖が始まってから 1カ月以上が経ちました。傘下のTSA運輸保安局の職員の欠勤や離職が進んでいます。
DHS国土安全保障省の予算を巡る議会の対立は続いており、空港で保安検査などを担うTSA運輸保安局職員およそ5万人が、給与の支払いがないまま働いている状況です。去年10月に始まった43日間の政府閉鎖でも、一時的にTSA職員への給与未払いが発生しました。それから半年もたたないうちに、同じことが繰りかえされる状況に陥っています。
TSA運輸保安局 労働組合
アーロン・バーカー会長
「移民を取り締まる機関は切り離し
予算を速やかに可決するよう求めます
閉鎖中に議員に給与があるのなら
TSA職員にも給与が支払われるべきです」
DHSによると、通常、病欠したり、出勤しなかったりする職員は全体の2%未満です。しかし、16日月曜日にはニューヨークJFK国際空港で30%の職員が欠勤、ジョージア州のアトランタ国際空港では37%が欠勤、14日土曜日にはテキサス州ヒューストンのホビー空港で55%が欠勤しました。17日火曜日には、全米で2700人の職員が病欠とし出勤しませんでした。また、今回の政府閉鎖を受けて366人のTSA職員が離職したということです。人員不足により、各地の空港で保安検査を待つ行列ができています。
国内線の乗客(1)
「2時間早めに来てなかったら
確実に乗り遅れるところでした
長い行列だけど間に合うかな」
国内線の乗客(2)
「いつもよりずいぶん早いけど
4時間前に来ました」
TSA高官は、閉鎖が続けば人員不足により、一部の小規模空港の閉鎖を余儀なくされる可能性があるとしています。
大手航空会社のCEOらは、公開文書で議会に対し、膠着状態を速やかに解消するよう強く求めました。また、今年はFIFAワールドカップやアメリカ建国250周年の記念行事が行われることから、政府予算の状況に関わらず、航空管制官やTSA職員に給与の支払いを保証する法案の可決を求めました。
一方で、TSAの監督下で保安検査を民間企業に委託できる政府プログラムがあります。全米約20カ所の空港が導入しており、その中でもカリフォルニア州サンフランシスコ国際空港は、最大規模の空港です。
サンフランシスコ国際空港 ダグ・ヤケル広報担当官
「近頃は予期せぬ恩恵を実感していて
いわばリスク回避です
政府閉鎖中でも必要不可欠な仕事に
就く人が給与を受け取れています」
このプログラムを利用する空港で保安検査を行うのは民間企業の従業員です。業務は企業と政府との契約に基づくため、政府が閉鎖されても従業員への支払いが継続される場合が多く、サンフランシスコ国際空港では、去年の政府閉鎖の際にも保安検査業務の維持に役立ったと言います。その一方で新たなリスクをもたらす可能性も指摘されています。
航空業界アナリスト
ヘンリー・ハーテフェルト氏
弊害となるのは民間企業が
当然ながら利益を追求することです
しかし安全や徹底した乗客の検査が
何よりも優先されなければなりません
TSAは2001年9月に起きた同時多発テロ後に発足した連邦機関です。
TSA労働組合は空港の保安検査を民間企業が運営することになると、空港間でばらつきが生じる可能性があり、統一された安全水準を維持するための管理が複雑化する恐れがあると指摘しています。
政府機関が再開すれば遡って給与は支払われますが、TSA職員の年収は3万ドルから6万ドルと言われ、給与の入金が遅れるとローンや日々の支払いに困る人も少なくありません。そのため空港で職員に食料やおむつなどの日用品を寄付する運動も行われました。それでも間に合わず生活のため休みをとってウーバーのドライバーなどのアルバイトをしている人が多いということです。