旅行シーズン真っ只中の先週末にカナダ最大手の航空会社「エア・カナダ」の客室乗務員がストライキを敢行。全便欠航を余儀なくされ、北米のみならず世界中の旅行客が影響を受けています。
エア・カナダの客室乗務員1万人が所属する労働組合は、およそ8ヵ月間会社側と交渉してきた契約内容が期限内に合意に至らなかったとして16日土曜日にストライキを敢行しました。
客室乗務員たちは、今年の春に満了した10年の契約期間中、インフレや物価上昇によって苦境に立たされていたと主張。新たな契約での賃上げや労働条件の改善を求めていました。当初はストライキを避けたい意向を示し、先週初めには空港前に組合員たちが整列するなどの形で抗議活動を行っていました。
カナダ公務員組合 地方組合リーダー ヘンリー・ラーデン氏
「私たちはみなさんに これは不公平で今すぐ対処が必要だということを美しい方法で伝えたいのです」
Henly Larden, Local Union Leader, Canadian Union of Public Employees
we want to really engage the public in a beautiful way to say, you know what it's unfair, we need to address it and we need address it now."
しかし先週水曜日、組合側は16日までに合意に達しない場合はストライキを敢行するとエア・カナダに通告。16日の午前1時頃ストライキに突入しました。
カナダ パティー・ハイデュー雇用・家族大臣
「今は経済にリスクを負う時ではありません。ストライキは何千人ものカナダ人を海外や国内に取り残すことになり、到底容認できません。昨年、複数の主要産業がストライキに突入し、カナダ国民は大きな代償を払いました。」
Patty Hajdu, Minister of Jobs and Families of Canada
"Now is not the time to take risks with our economy. A work stoppage would cause thousands of Canadians to be stranded abroad and across this country, and this is simply unacceptable. Last year, Canadians paid a high price when multiple key sectors went on strike.
政府の指示を受け、カナダ労使関係委員会は17日日曜日までに職場復帰するよう組合側に命じましたが、これを拒否してストライキを継続。3日目となる18日月曜日の夜に政府が任命した調停人を交えて交渉を再開し、9時間の協議の末、19日の早朝に暫定合意に至ったということです。
合意では、客室乗務員が地上にいる際に行う搭乗案内などの業務にも賃金が支払われることが保証され、ストライキの主要な原因の1つが解決したということです。組合側は「無給労働は終わった。私たちは声と力を取り戻した」と声明を出しています。
エア・カナダは1日に約700便を運航していて、完全な運航停止で1日あたり、世界中の13万人が影響を受けると見られています。今回のストライキによる欠航は50万人に影響を及ぼしたと推定されるということです。
アメリカ、ロサンゼルスの空港では、掲示板で欠航を知り戸惑った様子の利用客や、対応に追われるエア・カナダの職員の姿がみられました。
エアカナダ利用客
「ストライキ参加者に共感はするけど、なぜ私たちがその代償を払わなければいけないの?いい人であろうとはしているけど少しイライラするわよね」
Sarah Blandini, Air Canada customer:
"I understand, I'm solidarious with strikers in general, but I mean, why do we have to pay the consequences of this? And so, I'm trying to be absolutely a nice person, but yeah, it is a little bit frustrating.
エアカナダは19日火曜日の午後から段階的に運航を再開していますが、CEOのルソー氏は、大手航空会社の運航再開は複雑な事業だとして、運航スケジュールが安定するまでは一部の便を欠航するとしています。通常のスケジュールに戻るには7日から10日かかる可能性があるということです。