アメリカの中央銀行にあたるFRB・連邦準備制度理事会が9カ月ぶりに利下げを決めました。そうした中、FRBに対するトランプ大統領の政治的な介入が懸念されています。17日水曜日、FRBは金融政策を決める 連邦公開市場委員会の会合で政策金利を0.25%引き下げると決めました。今回の利下げにより新しい政策金利は年4.00~4.25%となります。
連邦準備制度理事会 ジェローム・パウエル議長
「物価上昇と雇用減速のリスクに
直面している厳しい状況です雇用の下振れリスクが高まり
リスクのバランスは変化しました 」
FRBはこれまでトランプ政権の関税措置によるインフレの再燃を懸念し、金利を据え置いてきました。今回は、雇用の減速を踏まえて景気を下支えするために利下げに踏み切った形で 年内にあと2回の利下げが見込まれています。
FRBが利下げに踏み切るのは去年12月以来 6会合ぶりで2期目のトランプ政権下では初めてとなります。トランプ大統領はFRBに対してこれまで繰り返し利下げを求めてきました。
ドナルド・トランプ大統領
「私のように賢い者の話を聞くべきだ
経済学者はみんな間違っている」
I think they should listen to smart people like me. I think I have a better instinct than him. If you look, all the economists got it wrong.
先月、トランプ大統領は任期途中で辞任した理事の後任として自身の側近、ホワイトハウスで経済政策を助言している経済諮問委員会のスティーブン・ミラン氏を指名しました。
ミラン氏の任期は来年1月までの4カ月間で政府高官の役職は辞任せずに休職し、FRBの理事を兼務します。FRBが正しく機能するためには 政府から独立した機関である必要があり今月4日に行われた指名公聴会では、ミラン氏では独立性が保てないとして
民主党議員から批判がでていました。
民主党 ジャック・リード上院議員
「事実上、大統領に仕えながら
FRBの独立した理事でいられるというのですか?
そんなのバカげている」
スティーブン・ミラン氏
「私はFRBの独立性をまもります」
会合の直前、15日月曜日の夜、議会上院はミラン氏の理事への就任を賛成48票、反対47票の僅差で承認しました。 トランプ大統領が利下げへの圧力を強める中で会合前に承認を急いだ形です。これにより、FRBの理事は7人中3人がトランプ大統領による指名となりました。また、トランプ大統領は、先月、住宅ローンを巡る不正があったとしてバイデン前大統領が指名したFRBのクック理事の解任を求めました。 クック氏は職務継続を求める訴訟を起こしています。
AP通信社 クリス・ルガバー記者
「バイデン氏が指名したクック理事を解任できれば
大統領はFRBへの影響力を強められるでしょう 」
if he is able to remove Lisa Cook, who was appointed by Joe Biden, then he would be able to assert more control over the Fed.”
15日月曜日、連邦控訴裁判所はクック理事の解任を一時的に差し止めるとした一審の判断を支持しました。この判断により、クック氏は当面、理事に留まることができますが、18日木曜日、トランプ政権はクック氏の解任を認めるよう連邦最高裁に上訴しました。
17日の会見でパウエル議長は、FRBの独立性と理事の団結について改めて強調しました。 しかし、多くの人はFRBの政治からの独立性が揺らいでいることに心配する声が高まっています。