ジョージ・W・ブッシュ政権時に副大統領を務めて「影の大統領」などと評され、退任後も大きな影響力を持った共和党の重鎮ディック・チェイニー氏が亡くなりました。84歳でした。
ディック・チェイニー元副大統領の家族は4日火曜日に声明を出し、チェイニー氏が3日、心血管系の疾患と肺炎の合併症で亡くなったと発表しました。政府の要職を歴任する中で常に心臓に不安を抱えていたチェイニー氏は、37歳で最初の心臓発作を経験。2012年に心臓移植を受けるまでに合わせて5回、心臓発作を起こしていたということです。
ネブラスカ州出身のチェイニー氏は、34歳の時、史上最年少でフォード大統領の主席補佐官に就任。(10“)連邦下院議員を5期務めたのち、ジョージ・H・W・ブッシュ政権では国防長官として湾岸戦争で軍を指揮しました。(10”)ジョージ・W・ブッシュ政権では副大統領に就任。対テロ戦争を主導し、大統領が最重要の決定を下す場面でも大きな役割を果たしていたと言われています。一方で、大量破壊兵器の存在を主張して踏み切ったイラク侵攻や、テロ容疑者に対する拷問を正当化し続けたことなどへの批判も多く、「アメリカ史上最も権力を持ち、最も物議を醸した副大統領の一人」と言われています。
共和党 ジョン・スーン上院院内総務
「多くの国民と同様、チェイニー元副大統領の訃報を知って悲しみに暮れています。チェイニー氏は生涯公僕として、我が国を深く信じ、その豊富な知識と知性を国のために捧げました。」
Sen. John Thune, Senate Majority Leader:
“like many Americans, I was saddened to learn this morning of the death of former Vice President Dick Cheney. Dick was a lifelong public servant who believed very deeply in our country and brought his considerable knowledge and intelligence to its service.
議会上院では4日(火曜日)、共和党指導部が次々とチェイニー氏への敬意を表した他、バイデン氏やクリントン氏といった民主党の歴代大統領も追悼のコメントを出しました。一方、チェイニー氏と激しく対立していたトランプ大統領はいっさいコメントを出していません。ホワイトハウスの定例記者会見でも、レビット報道官は記者から質問されるまでチェイニー氏については触れず、回答もごく形式的なものにとどまりました。
キャロライン・レビット ホワイトハウス報道官
「大統領は元副大統領の逝去をご存知ですし、ご覧の通り、法令に基づいて半旗が掲げられています。 」
Karoline Leavitt, White House Press Secretary:
“I know the president is aware of the former vice president's passing and as you saw flags have been lowered to half-staff in accordance with statutory law.”
上院の共和党指導部は、チェイニー氏の国葬の可能性について、規定などを確認中だとしていますが、レビット報道官は、少なくとも現時点では、ホワイトハウスは葬儀について何の関与もしていないと答えています