先週末の、サウジアラビアの石油施設破壊にイランの関与が強く疑われ、軍事的報復を含めたアメリカの対応が注目されています。14日、サウジアラビアにある世界有数の石油施設2ヵ所が攻撃されたことを受け、アメリカのポンペオ国務長官は、イランが関わっているとして「イランは前代未聞の攻撃を行った」と名指しで非難しました。
トランプ大統領も当初、ツイッターで「戦う準備は整っている」などと、軍事的な報復を示唆しましたが、週明けには一転、イランの関与について明言を避けるなど、慎重な受け答えが目立ちました。16日のホワイトハウスでの会見では、記者から「イランに言いたいことは?」と問われたトランプ大統領が「責任を問うかもしれないし問わないかもしれない。それも最終報告次第のことで、今はわからない」「戦争にはしたくない」などと答え、反強硬姿勢を貫きました。
攻撃についてイランが全面的に関与を否定する一方で、サウジアラビアの国防相は17日、現場で見つかったイラン製のドローンやミサイルの残骸をイラン関与の証拠として公表。トランプ大統領はその翌日、「財務省にイランへの大幅な経済制裁強化を指示した」とツイッターで表明しましたが、これが報復措置を意味するかどうかには言及しませんでした。
アメリカとイランをめぐっては、トランプ大統領が去年、イランが核開発を制限する見返りに経済制裁を緩和すると取り決めた「イラン核合意」からの離脱を表明して以来、一触即発の状況が続いています。特に今年6月、イランがアメリカの偵察用ドローンを撃墜した際には、アメリカ側が報復攻撃の準備を整え、トランプ大統領も一旦承認したものの、直前で中止した経緯があります。
今回、軍事的報復に動くかどうか、トランプ大統領は、サウジアラビア政府の反応を待つとしています。しかし、石油施設破壊の影響が中東だけでなく世界経済に及ぶだけに、イランの関与が確認されればアメリカも軍事力の行使を余儀なくされるのではと指摘されています。