舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
初恋、初めてのデート、初ABC E気持ち、等等、
青春の甘酸っぱいそんな記憶って、
人間ってきっと死ぬまで忘れられない様な鮮烈な思い出だよねー。
さて、私の初デートといえば
忘れもしない25歳の時。
そーなんです。
ワタシ遅咲きの狂い咲きなんっす、www
お相手は福岡のある会社に勤めていた三人の子持ちのFさん。
ココだけの話、不倫!
初デートの場所は、天神の焼き鳥屋
あまりの緊張と興奮で、食事に全く手をつけられなかったことを覚えチョル・・
今でこそ酸いも甘いも噛み分けた立派なオバさんやってますが、
この私とてン十年前には、まだ無傷のイノセンスを胸に秘めた
穢れなき若者だったのだよ。
そんな私の話は置いといて、・・・・
ミュージカルの王道プロットと言えば、諸々の恋愛模様。
今回ご紹介する新作ミュージカル「ファースト・デート」は、
ブラインド・デート(全く面識のない人とのデート)で知り合った男女の恋の経緯の物語。
ミュージカル「ファースト・デート」の主人公は、 愛を捜すシングルの男女
実際に会ってみると、性格や価値観が全く違う二人
出会ったことに後悔しつつデートは進む・・・
さて、この恋の行方は・・・?
「ファースト・デート」が制作され、プレミア上演されたのはシアトル
ローカル紙に絶賛され、シアトル版トニー賞といわれる
シアトル・タイムズ・フットライト・アワードでベスト・ミュージカル賞を受賞とか?
そして、ブロードウェイに参入して来たわけだが・・・
出来は?
私には、ミュージカルを観ているというより、
一昔前のTVドラマを見ている感覚。
というのは、この手の恋愛ものはすでに
90年代のTVドラマ「フレンズ」、「セックス・アンド・ザ・シティ」で
やり尽くしたコンテンツ
刺身のツマみたいに、女主人公の相談役として、ゲイ役を設定することなんて、既視感満載。
それを敢えて舞台化するにあたっての、工夫や新鮮さはなく、
脚本は物語の先の展開がお見通しの予定調和型。
なんで、いまさらブロードウェイでミュージカルなのさー?
ってのが正直なところ
勿論、言うは易く、行うは難しって言葉はしちょるよー。
でもこの生温さは一体何なんだ。
結果、観劇中こそ、数々のギャグに笑いはさそわれても、
観劇後には何も残らないのだー。
良いところは・・・
ズバリ、アーロン役の扮する主演ザッカリー・リーヴァイがいいねー
ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」のフリン・ライダー役で
知名度抜群の俳優さんで見かけは、ロンドン五輪の金メダリストで
プロボクサーに転向した村田ばりのイケメン
俳優としてのアピール度も抜群!
本作では草食系男子をユーモアとウィットに富んだ役を構築したのだよー。
観客の反応だけれど
私が観劇した当日の20から30代の観客には大ウケ!
随所にちりばめられた「あるある」的エピソードは
観客の笑いのツボにハマったのだろうね。
私のようなオバちゃ向きじゃないけれど、
劇中の二人みたいに、初デートの緊張を軽い笑いで和ませたいような、
初々しいカップル向けミュージカルかもねー!?
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった 素晴らしいものなんですよね!
トシ・カプチーノ評:★★
Longacre Theatre
220 West 48th Street
みなさま〜、今回はできたてホヤホヤ
新しいもん好きの方向け、新作ミュージカル
「ロッキー」のご紹介ですよー♪
このおニューなミュージカルの原案となった、映画「ロッキー」と言えば・・・
まずあの、パンパカパーンな主題歌を思い出すー。
(今でも格闘家の入場テーマとしても有名ですよねー)
そして当時、全くの無名の俳優だったシルベスター・スタローンが
脚本と主演を兼務して、一気にハリウッドにその名を轟かせたのだー。
劇中の無名ボクサーの立身出世と、
スタローン自身の起死回生物語がオーバーラップして、
たった1億円の投資が・・・
倍返しどころか、
な、なんと
225倍
になるという爆発的なヒットとなり、アカデミー賞までも受賞!
まさに、アメリカン・サクセス・ドリーム
いや、アメリカン・サクセス・ドリーム・スーパー
いやいや、アメリカン・サクセス・ドリーム・スペシャル
いやいやいや、アメリカン・サクセス・ドリーム・デラックス
いやいやいやいや、アメリカン・サクセス・ドリーム・ターボ
みたいなお話。
その後、40年に渡って、シリーズ6話まで映画が制作されたほどの、
ハリウッド伝説的ポピュラーなコンテンツのひとつなのだが・・・
そんな人気のロッキー・ブランドを舞台化すれば、
ヒット間違いなしって思うよねーーーー???
が、しかーし
実際の所、ハリウッド映画の舞台化は、ここんところスベりっぱなし。
例えば・・・・
「ゴースト」鳴り物入りで開幕したのに結果は惨憺たる有様
たった3ヶ月で閉幕
「シュレック」に至っては、どうにか約1年続いたものの、
制作費25億円を回収するできず仕舞い。
「ロッキー」の場合・・・・
ミュージカルと相性がいいとは言えないスポ−ツ
しかもボクシング。
なんか汗臭そー・・・
あまりにリスクが高いと判断されたのか、
ブロードウェイのプロデューサー達はスベると判断したんだろうねー?
誰ひとりとして手を出さなかったのさー!
ここで、また
しかーし
捨てる神あれば拾う神あり
ドイツのエンタメ界を牛耳るある会社がプロデューサーとなり
ハンブルグでプレミア公演を実施したところ大成功!
ロンドン・ウエストエンドでもない
ニューヨーク・ブロードウェイでもない、
なんと
ドイツ・ハンブルグという僻地で産まれたミュージカル版「ロッキー」が
高評価を得たことに気を良くして、
いざブロードウェイへ!
となった訳でございます。
果たして本作が、劇中のロッキーまたはスタローン自身のごとく、
一発逆転満塁ホームランとなるのか、乞うご期待!
べべんべんべん!!
ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを語りたい人だけどうぞ)
◎演出家は誰じゃ?
ブロードウェイの超売れっ子演出家アレックス・ティンバーズ
オフ・ミュージカル「HERE LIES LOVE」の斬新な演出で
私が腰抜かすほど驚いた人だぜよー!
彼なら、「ロッキー」独特の世界観を彼流に表現出来るかも???
◎主演に抜擢された俳優さんは?
アンディ・カール
年齢:41歳?
身長:190センチ
体重:86キロ
ブロードウェイ舞台俳優の中堅どころ
御覧のとおり、なかなかのイケメンさん!
パッと見は、スーパーマンの最新映画「マン・オブ・スティール」の
ヘンリー・カヴィル似のマッチョ系
ちと、若さに欠けるが、スタローンのような筋肉おバカ系でない、
繊細さや微かな優しさを持ち合わせており、
この辺で、汗臭さを払拭して
女性客にアピールしようという狙いがあるのか??
ちなみに、アンディはただ今、「ジャージー・ボーイズ」に出演中。
皆様も、大ヒット後の安全牌もよござんすが、
初カツオならぬプレビューをご覧になって、吉とでるか凶とでるか?
その行く末を見守るという
ギャンブル的楽しみをお試しになってみてはいかが?!
プレビュー開始は、2014年2月11日
みなさん、韋駄天走りで劇場へ行くべし!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった 素晴らしいものなんですよね!
本題に行く前に、
みなさまに耳寄りなお知らせ!
9月2日から15日までのブロードウェイショーの
オーケストラ席チケットを1枚買うと・・・・
な・なんと、もれなく、もう1枚ついてくる!
ご主人様、たまには奥様の労をねぎらって、
ミュージカルへの誘ってみては?
大切なあの人と共に、芸術の秋を感じましょう!
で、肝心の観劇は!?
そりゃーみなさま、「ソウル・ドクター」に決まり!
なんてったって、ミュージカルもお野菜も鮮度が全て!
トシカプは旬の物を、一番美味しい時にいただくことをお薦めするよー!
みなさーん、韋駄天走りで劇場へ行くのだぁー!
詳細はこちらへ
↓
http://www.nycgo.com/broadwayweek
まずは、「ソウル・ドクター」の簡単なストーリーを予習しておきましょう。
女性に触ることも許されない保守的なユダヤ教と、
自由な音楽業界との間で葛藤する
音楽家シュロモ・カリルバッハ・・・
見どころ
◎ 黒人音楽とユダヤ系音楽をミックスした力強いメの曲から、
哀愁溢れるワルツ、フォーク系まで、
日本人にみょーになじむ音楽はしゃれとんしゃーよー!
◎ナチスに追われ、アメリカに逃げてきたがシュロモの
波瀾万丈の人生が、ミュージカルの題材としてピッタリ!
ただ欲を言えば、脚本に二回転半くらいのヒネリを加え、
人物描写をもっと濃くしたら、もっといいねー!
ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを語りたい人だけどうぞ)
本作が初演されたのは昨年夏。
大ヒット・ミュージカル「RENT」が誕生した
オフ・ブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで初演。
4週間の公演が大好評となりに、ブロードウェイ進出を果した。
果たして、本作がオフ発でブロードウェイで大成功を収めた、
「アウ゛ェニューQ」(03年)
「春のめざめ」(06年)
「ネクスト・トゥ・ノーマル」(09年)
などのエポック・メーキングな作品と肩を並べる一本になるのか!?
もっと詳しくストーリーを予習したい人のために
1930年代、ナチスに占領されたウィーンからアメリカNYへ逃亡したシュロモとその家族。
父はシナゴーグ(ユダヤ教会)を建て礼拝を始めるが、教会へ寄り付く者はいない。
シュロモはなんとか礼拝に人を集めようと四苦八苦している。
そんな時、伝説のジャズシンガー、ニーナ・シモンと出会う。
その出会いでシュロモの人生は一転。
ソウルとゴスペルに大きな影響を受け、ギターを習い、
黒人音楽とユダヤ音楽をミックスした彼独特のユダヤ音楽を創作するように・・。
そんなある日、シュロモが公園で歌っていたら、
それを耳にした音楽プロデューサーにレコード歌手としてスカウトされる。
発売したレコードはまさかの大ヒットに。
シュロモは、徐々にユダヤ教の教えの枠をはみ出て、
自由主義的な活動を開始。
その後、NYからサンフランシスコに移り住み、
歌によって平和と愛を唱えるヒッピー系ユダヤ教の指導者へと・・・
客層
至って普通のブロードウェイショーと変わらないが
ユダヤ人を描いたミュージカルだけあって
カッパの皿のような小さな円形の帽子、キッパを被っている人が目立つかな?
さて、来週、ユダヤの休日、ジューイッシュ・ホリデー。
そのため、本作の上演スケジュールは、かなり変則気味。
観劇前、スケジュールのチェック要!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった
素晴らしいものなんですよね!
トシ・カプチーノ評:★★★
Circle in the Square Theatre
1633 Broadway Bet.50th Street & B'way
「ソウル・ドクター」一幕、読んで下さった皆様、
お待たせしました。
二幕へ参ります!
主人公は、ユダヤ教の聖職者で音楽家シュロモ・カルリバッハ
ユダヤ人以外のアメリカ人には、ほぼ無名だとか
しかし、ユダヤ人の間では、
"歌うラビ", (ユダヤ系の聖職者)の異名を持ち、
20世紀を代表する
ユダヤ教指導者のソングライターと言われているのさ
ちなみに40年の音楽活動の中で、彼が作曲した楽曲は数千曲。
リリースしたアルバムは25枚だと。
で、その主人公、シュロモ・カルリバッハを演じたのは、
大ヒット曲「また逢う日まで」で
日本レコード大賞を受賞した尾崎紀代彦さん!?
スンマヘーン
サブーい冗談で・・汗
でも、
冗談かましたくなるほど、
濃い顔やラウンド髭の感じ
開演直後、客席からギターを抱いた渡り鳥で、
歌いながら出て来た彼は・・・
ちとガチポチャの熊系ながら、
私にとって尾崎紀代彦だったのさー!
シュロモを演じるのはエリック・アンダーソンという人。
今回、ブロードウェイ初主演なわけだけど、当たり役!
見た目はもろユダヤ人だし、
宗教の教えと自由主義の間で揺れる奥ゆかしいシュロモを好演している
ソフトな癒し系の歌声も心地いいのだぜー!
ところで、ブロードウェイの舞台俳優って凄い。
プロになるまで、
演劇の基礎を学んだ人の集まりだから
演技、歌、踊り(タップも含む)の3つがしっかりデキル。
いやーブロードウェイの俳優の質の高さには驚きですなー!
余談だけど、TVドラマ「半沢直樹」の
主要キャストを舞台俳優で固めているのご存知でした?
堺雅人(早稲田大学演劇研究会)
香川照之(歌舞伎役者)
片岡愛之助(歌舞伎役者)
滝藤賢一(元無名塾)
吉田剛太郎(元劇団四季)
森田順平(元文学座)
手塚とおる(蜷川幸雄先生の舞台でデビュー)
常に、後ろから、前から、横から
全身を見られていることが当たり前の舞台俳優の演技は
一挙手一投足、目の使い方まで違うね!
第6話で印象的だったのは・・・
香川照之さん=怖さ10倍、小皺も少々
片岡愛之助さん=怖さ20倍のおきゃまww
山根基世さん=銀行業界用語ナレーションの発音がエッチ!
堺雅人演じる半沢直樹。
おどろおどろしい細め目の使い方、
「てやんでぃ、こん畜生!」ってな
熱血野郎風の台詞の言い回し、
まるで実在の人物を見ているかのよう
グイグイ半沢直樹の世界に引き込まれていくのだよねー!
境雅人さんの大ブレイクに、
きっと、あの俳優も、あの俳優だって、
モーツァルトの才能を妬むサリエリの心境だぜよ!
これからの日本のTVドラマは本物志向。
練り込んだ脚本
奇想天外な演出
そして、
演技派俳優のキャスティング
盤石の地位を築くには上記3つが必須!
ついに、時代はアイドルから本格派舞台俳優たちへ!
ガツンと行こうぜ、劇団銅鑼!
ちょっと長くなったので、
インターミッション
わかりやすーい
ためになーる
よみやすーい
と評判のこのブログ
アクセスも急増中!
きゃーうれぴー
\(^o^)/
開設から4ヶ月
前回よりも、前々回よりも楽しーいものをお届けするため、
これからもアスパラ飲んでがんばるぜー!
さて、夏も果て、食欲の秋、ゲイ術の秋、だねー。
秋と言えば、マツタケ
小ぶりな純国産の香りと食感!
たまりません!
行きたいな、 日本へマツタケ狩り
その話は置いといて、
秋はブロードウェイの開幕ラッシュ!
新作が続々登場するー。
前半戦は、お芝居中心
後半戦には、話題のミュージカルが続々と・・・
例えば、
ディズニー「アラジン」
新演出版「レ・ミゼラブル」
ベストセラー小説の舞台化「マディソン郡の橋」
すでに開幕した新作もチラホラ、いえい!
その第一弾としてポンと行っちゃったのが、ミュージカル「ソウル・ドクター」
タイトルは「ドクター」でも、
田宮二郎の「白い巨塔」や江口洋介の「救命病棟24時」などの
医療ドラマ系じゃあーりませんから、ご注意を!
本作をサクッと言うと
ユダヤ教徒の音楽家をテーマにしたミュージカル
ちなみに過去、宗教をテーマにしたブロードウェイ・ミュージカルといえば、
ジーザス=クライスト(イエス・キリスト)の最期の7日間を描く
『ジーザス・クライスト=スーパースター』や
最近本ブログで取り上げた、
モルモン教の宣教師としてアフリカのウガンダに送られた凸凹コンビの七転八起を描く
コメディ「ブック・オブ・モルモン」。
キリスト教
モルモン教
とくれば
コレでしょ! → ユダヤ教
なにせ、ニューヨークはジューヨークといわれるほどユダヤ人だらけ・・!
そう、この「ソウル・ドクター」は、
ユダヤ音楽の元祖といえるを実在の人物シュロモ・カルリバッハの自伝ミュージカルなのさ
しかーし、
ユダヤ音楽になかなか縁がないニッポン人
そんな方にイメージして頂きたいのが、
森繁久彌で知られる名作ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」。
劇中歌「サンライズ・サンセット」なんて、
ブロードウェイの舞台という枠を超えて、
社会現象とも言える大ヒットになった名曲!
曲調は、スローで暗め。
そう、八代亜紀に歌わせたらピッタリの演歌っぽいナンバーなのさ!
そんな日本人好みの音楽を満載したのが「ソウル・ドクター」なのだぜー!
インターミッション