舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
90年に大ヒットしたミュージカル「ミス・サイゴン」
作品の評価以外でも、アジア人の主役に白人を抜擢したという事で、
当時ニュースなどで議論が紛糾。
今回、オフとは言え、「HERE LIES LOVE」のキャストが
オール・アジア人というのは、もうそれだけで感慨深い。
思えば遠くへきたもんだーぁ♪
ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを披瀝したい人だけどうぞ)
◎プロデューサーは、オフ・ブロードウェイの名門パブリックシアター。
銭儲けより、芸術性の高い作品を創作することを目的とした非営利演劇団体。
オン・ブロードウェイに送り出した作品は数知れず。
その中で世界的なヒットとなった作品にはミュージカル「コーラスライン」や「ヘアー」がある。
◎前述した二人の天才のひとりが、原案、作詞、作曲を手掛けたデヴィッド・バーン。
70〜80年代に芸術性の高い
オルタナティブ(既存のものと取ってかわる新しいもの)ロックミュージックで
音楽界を一世風靡した元トーキング・ヘッヅのメンバー。
バーンはイメルダ夫人が
NYスタジオ54の常連だったということから
ヒントを得て、
イメルダの生き様とディスコをコンバインさせたんだとか!
◎天才二人目は、アレックス・ティンバーズ。
今ブロードウェイ演劇界から最も注目されている演出家。
私が彼を知ったのは、
2006年オフオフ・ブロードウェイで上演された「ヘルハウス」。
9つの恐怖の部屋を解説つきで案内してくれる
21世紀のお化け屋敷のショーに私は度肝をぬかれたわ。
2013ー14シーズンでは映画「ロッキー」も
彼の演出によってミュージカル化されるのだぜよ!
ニューヨークで暮らしていると、
肌の色が違うというだけで、
嫌な思いをすることもたびたび。
でもね、この作品を観た後、
ニッポン人(アジア人)である自分が、スゴーく誇らしかった。
あえて、小姑根性でダメ出しさせて頂くと・・・
あまりにエンターテイメント性が重視されているから?
観劇後のイメルダ夫人の印象が薄い。
最後にチケット情報
まず謝罪から・・・
みなさん、めんご、めんご。
カプチーノ折り紙付きの本公演のチケットは、
最終日7月28日までソールドアウト!
私を、ひっぱたくなり、ドつくなり、ツッコムなり、好きにしてちょうだい!
まあ今回は残念だけど、来年、ブロードウェイにやって来る!?
私はそう信じて疑いません。
観れなかった恋人たちよ、来年まで辛抱強く待つのだよ!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけじゃなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですね。
トシカプ評 ★★★★★
Public Theater/LuEsther Hall
425 Lafayette Street
New York, NY
前評判が高く、制作費も湯水のごとく使った王道大作ミュージカルはハズレなし。
しかーし、
オフ・ブロードウェイの小劇場で隠れた珠玉の名作を発見するっても観劇の醍醐味!
「HERE LIES LOVE」がまさにソレ!
知る人ぞ知る、今でしょ!ミュージカルなのだぜよー。
私がそれを初めて観た時
カラダ中に電流が走り
脳天をかち割られる衝撃を受ける稀な事件に遭遇したのでございます!
観劇後は、悲しくないのだけど、劇場の隅でシクシク。
NYで暮らしていることを、心から神様と母に感謝してしまったのです!
では、「HERE LIES LOVE」ってどんなミュージカルなのか!?
イメルダ・マルコス元大統領夫人の半生を
70年代のおディスコサウンドで描く新作ポップオペラ風ミュージカルなのだぜよー!
イメルダ夫人といえば、フィリピンの元ファーストレディー
欲望の赴くまま
独裁者として君臨した夫の威を借り
金と権力を自由自在に
ファッションやエステ代など自分に費やした金は
ななんと1兆円
IKKOさんの月のエステ代350万円なんて可愛いもん
日本のバラエティ番組で"ひな壇"を飾っている"あのご夫人"でも
イメルダの贅のすべてを尽くした生活に比べたらお子ちゃまなのよー!
その美味しすぎる題材をミュージカル化したのは二人の天才なのさ!
見どころは?
◎既成概念をぶち壊すNYならではの演出!
◎ 究極の新スタンダード参加型パフォーマンス
軽装、スニーカーで行くのがベスト。
十二単は無理だよーん!
◎キャッチー、アピーリングなスバラシイ音楽
シンディ・ローパー書き下ろしの「キンキー・ブーツ」も
私の心を鷲掴みだったけど、コレも全く負けちゃーいない。
シンプルながらビートのきいた曲ばかり。
特に、ラストソング「Here Lies Love」は耳に残る名曲なのさー!
◎一心不乱に役への思いの丈をに伝えようとする熱い全アジア人キャスト
男性陣の若さと動物的しなやかさのコンビネーションは最高。
まさに、ゲイ・アジアン・ナイト・・ワイルドだぜぇー!
彼らにチップあげなくてい井の頭、なんて脳裏をよぎったほどなのさ!
つづく
6月11日放送の「モーニングEYE」トニー賞特集はごらんいただけましたでしょうか?
お陰さまで評判も上々だったようで、「見たよ」「良かったよ」と言って下さる方が・・・
中にはこんな方も
「スゲー・・スター誕生ですねー!あーたは21世紀のバーブラですよー、きゃー」。
きっとこの方、お仲間でしょうね?w
「カプチーノさんの声いいですねーー」。
はい、声とフクラハギはよーく褒められますwww
うひひ、人生変えちゃう夏かもね
さて、第67回トニー賞リバイバル賞に輝いた「ピピン」
「ピピン」とは?
手に汗握るアクロバティックなサーカスと、創造性溢れるダンス、
一度聞いたら忘れられない名曲の数々を一度に楽しめるミュージカルなのさ。
発案者は、ボブ・フォッシー。
「シカゴ」、「キャバレー」など数々の名作を生んだ天才振付家。
音楽界ではマイケル・ジャクソンのダンスに多大な影響を与えた神様仏様みたいな人なのよー。
ピピンの魅力に読み解くキーワードは、ボブ・フォッシーの振付
フォッシーちゃん、若ハゲと身長の低さにコンプレックスがあったと言われていたのだよ。
しかーし
彼はそれを逆手に取って、自分のコンプレックスを目立たなくするため、
フォッシースタイルのダンスを編み出したのさ!
厄転じて福となすーってやつだわさ。
フォッシーちゃんのダンスの大きな特徴は?
♪首の傾き加減
♪指や腕の絶妙な動き
♪帽子の持ち方
♪バレエと逆の足の開き方
その独特なダンスは究極のエロスの謝肉祭。
あとにも先にもフォッシーを超える振付家は出て来ないね、キッパリ!
ピピンの魅力を明かすキーワードの二つ目は、再生。
演出を手掛けたのは、ダンアン・ポーラス。
「ヘアー」、「ポギーとベス」の演出を手掛けたミュージカル再生の達人だーーー!
本作で彼女は、ボブ・フォッシーのコンセプトを強固にするため
モントリオールのサーカスグループ「les 7 doigts de la main」を加え、サーカス色を濃厚に。
それはまるで六花亭マルセイバターサンドを10倍濃くした感じ。
このサイトを覗いてミソ!
↓
超オサレー!超カコイー!
シルク・ドゥ・ソレイユもだけど、なぜにサーカス系のエンタメの本拠地って
カナダ、ケベックなんやろうか?どういう土壌なのか、個人的に興味津々なので今度取材したーい。
ピピンの魅力の3番目のポイントは、66歳のオバーちゃん女優の踏ん張り
「ピピン」の究極の見どころはピピンの祖母バーサが歌うシーン。
バーサに扮するのはアンドレア・マーティン。
圧倒的な強さでトニー賞助演女優賞を受賞した御歳66のコメディ系女優。
な、なんと彼女、アメリカ人演劇ヲタクなら誰もが口ずさめる
名曲中の名曲「もう時間がないの」(No Time at All)を歌いながら、
命綱なしで空中ブランコの曲芸を披露。
歌のあと、その踏ん張りに観客は拍手喝采。
常に総立ちとなり、ショーストップ(私の観劇日もそうだった!)するほどの大盛り上がり。
常軌を逸したブロードウェイ俳優陣達の年齢を超越した匠の技、
コレを見るだけでもチケット代払う価値あり!
最後に、小姑根性で重箱の隅をつつかせてもらうと、
燃料切れかぁーーー?
一幕に比べて、二幕は興奮度が半減、ちと退屈。
けんど、歌も踊りもサーカスもほんとスンバラシィーでshow!!
トニー賞受賞を受けてチケットは来年1月まで絶賛発売中!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけじゃなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいもんだんですね。
トシカプ評 ★★★★
Music Box Theatre
239 West 45th Street
New York, NY 10036
「パンパカパーン、パンパンパ、パンパカパン」
6月9日、第67回トニー賞が発表されましたー!
一番のサプライズは
アカデミー賞を2度受賞したハリウッド俳優トム・ハンクス(「ラッキー・ガイ」)が
主演男優賞を逃したこと!
賞をかっつぁらっていったのは
戯曲家であり俳優のトレーシー・レッツ(「ヴィージニア・ウルフなんてこわくない」)
この結果に納得できーん・・って人も多いだろうが、カプチーノ的にはオケー!
というも「ラッキー・ガイ」の脚本自体に面白みがないのだ。
しかも「ヴィージニア・ウルフなんてこわくない」に比べて
役の難易度は低く、台詞の量も少なかったしー。
そんな部分が運命の分かれ道なったのだと思ウッチャンねー。
しかし、可哀相なハンクスちゃん・・・とほほのほ
私から象印賞を贈呈しておきまーす!
ところで
以前本ブログに書いた私のトニー賞予想は100%的中!エッヘン!!
最優秀ミュージカル賞は「キンキー・ブーツ」(やはりアメ車を買えっつうことですね!?)
快挙じゃ快挙じゃ、プロデューサーの川名康浩さん、おめでとうございまーす!
次は私の出番よ!!
リバイバル賞には「ピピン」
リーディング・プレイヤー(狂言まわし)を演じたパティーナ・ミラーも主演女優賞に輝いたんだぜー!
で、そもそも「ピピン」ってどんなミュージカルなのかぁー?
歌と踊りとサーカスを見事に合体させた新体験エンターテイメントなのさ
見どころは?
◎手に汗握るアクロバティックなサーカス
◎官能的で上質なフォッシー・スタイルのダンス・ダンス・ダンス
◎ミュージカル「ウィキッド」でおなじみの作詞作曲家スティーヴン・シュワルツの
心に染みる名曲数々
肉体のエリート揃い
前述したパティーナ・ミラーは「ピピン」で大変身
ファッシースタイルのダンスを踊るため肉体改造したんだと!
トニー賞授賞式で見た彼女の体型はまるでオリンピックのアスリート。
水泳の北島康介選手も驚きの肩幅!
なんと彼女、初演後も毎日3時間のトレーニングを欠かさないんだとさー(尊敬の眼差し)
「ロングブレス」ダイエットじゃ、あーはなりまへーん。
男性陣キャストも超お美しーい。
ただ単に鍛錬された体型でなく、Hっぽいところがイイ!
まともな女子やホモは上の空の夢うつつ。
それほどエロティックなんだぜー。
いやー眼福眼福
つづく
スパイク役を演じるのは、ビリー・マグヌッセン
28歳、推定5.11フィート、190ポンド。
元AKB48のあっちゃんみたく
お顔のパーツが中央により気味だけど、
ベイビーファイスがたまりましぇーーーん!
いったい今までNYのどこに隠れていたのさーーーハニー。
罪作りな存在だよねー
ここまで読んだ方、
えがったのはソコだけかい!?って、
またツッコミいれられそうだけど
ぶっちゃけ50%はソコ!
しかーし
脚本と俳優も素晴らしスギちゃん
脚本は、クリストファー・デュラング
チェーホフの戯曲をぶち壊し、
うつ病も失業もセックスも笑い飛ばしながらも、
老いとは、家族とは、を深く抉っている。
主な登場人物は、鬱病のソーニャと彼女の世話をする作家志望のワーニャ(50代の初老ゲイ)。
そして、彼らの面倒をみる大女優マーシャ。
その恋人役に超絶フェロモン系の若いツバメ(チェーホフとは全く関係ない役柄)
アイディアが面白スギちゃんだねー
物語は、ワーニャとソーニャとマーシャ3人が、
親から譲り受けた家を売りに出すと宣言したことから大騒動へハッテンするぅーー。
ドタバタコメディながら、
人間の弱さ、孤独感、老いへの恐怖を巧妙に演じたのは、
ワーニャ役:デヴィッド・ハイド・ピアース
ソーニャ役:クリスティーン・ニールセン
マーシャ役:シガニー・ウィーバー
3人の息はピッタリ!
間の取り方も絶妙!
何気ないジョークでも観客の爆笑を誘う様は技あり!
古典落語にも通じる名人芸!
日本でお笑い(吉本新喜劇系)は軽く見られる風潮が・・
しかーし
コメディほど難しいものはナイぜよー。
今週日曜日はいよいよトニー賞授賞式
主演男優/女優賞にデヴィッド・ハイド・ピアースとクリスティーン・ニールセンの二人が。
そして、なんと奥様!
助演男優賞候補に、
超絶フェロモン男子のビリー・マグヌッセンもノミネートされている!
アレー、おタア様ぁー
大評判を受けて公演はまたまた延長され7月28日まで
みなさーん、「ワーニャとソーニャとマーシャとスパイク」を韋駄天走りに観に行くべし!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけじゃなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいもんだんですね。
トシカプ評 ★★★★★
John Golden Theatre
252 West 45th Street
New York, NY 10036 US