アメリカの次期大統領選挙まで1年を切りました。共和党候補として筆頭人気のトランプ前大統領ですが、さまざまな裁判を抱え、選挙活動も制限される日々に苛立ちが目立っています。
6日、月曜日にニューヨーク州裁判所に出廷したトランプ前大統領ですが、この日は、傍聴ではなく初の証言台に立ち答弁を行いました。
この裁判は、トランプ氏の一族企業が、所有する不動産などの資産価値を水増しし不正に利益を得たとして訴えられた民事裁判で、原告のニューヨーク州司法長官は、被告トランプ氏に対し2億5000万ドル(約377億円)の罰金と、一族企業に対する厳しい事業制限を求めているものです。
この日の法廷では、休みを挟んでおよそ5時間かけ証言をしたトランプ氏ですが、その証言の内容は、裁判への不平不満や、原告への非難だらけで、それを注意する判事と激しい口論が繰り広げられた、ということです。
検事からの質問に対してのトランプ氏の答えに、エンゴロン判事は、「答えになっていない」とか「くどい」と苦言を呈し証言するトランプ氏の横の弁護士に対して「弁護人は証人をコントロール出来ないのか?ここは政治集会ではなく法廷です。弁護士ができないなら、私がします。」とトランプ氏を法廷から退場させると警告しました。
レティシア・ジェームスニューヨーク州司法長官「被告は暴言を吐き、私たちを侮辱しましたが、それは想定内です。提出した証拠は、被告らが利益を得るために改ざんしたものだと証明されました」この日の質問に対してトランプ氏は、水増しした財務諸表の内容を知っていたと認め、「私は書類を見たし提案したこともあったかもしれない」と答弁。
しかし、詐欺罪に関しては、会社の会計士らの責任であると主張しています。
この裁判に関しては、水曜日に、娘のイバンカ・トランプ氏も裁判所に出廷、証言を行いましたが、父のトランプ氏と同様の答弁を行っています。
来年の次期大統領選の選挙活動の妨げと見られている、トランプ氏の数々の裁判ですが、裁判で騒ぎ立てて注目が集まれば、選挙活動を行わなくても高い支持率を維持されているという現実もあり、一部では、トランプ氏の過激な発言や行動は、こういった効果を期待したものだという指摘もあります。