バイデン大統領の機密文書の取り扱いをめぐり、検察当局は先月、バイデン大統領の記憶力の衰えなどを理由に有罪にするのは難しいとする報告書を発表しました。
12日、この報告書を作成した元特別検察官が下院司法委員会で証言、民主共和両党の議員から厳しい質問を受けました。
12日、火曜日、バイデン大統領の機密文書問題を担当し不起訴の判断を下したロバート・ハー元特別検察官が米下院司法委員会に出席し、報告書の内容や判断の正当性などを述べました。
ロバート・ハー元特別検察官「私たちはバイデン氏が副大統領職を終え、民間人だったときに機密資料を意図的に保持していた、という証拠を特定しました。しかし、疑惑を超えたレベルの達した証拠は特定できませんでした」
訴追の見送り決定は、バイデン大統領、そして民主党にとっては良い結果でしたが、報告書では、バイデン大統領が、「同情や善意があるが記憶力が弱い低い老人」と描写、民主党議員の怒りを買いました。
ロバート・ハー元特別検察官「報告書の中の大統領の記憶に関する私の評価は、必要かつ正確かつ公正なものでした。私は説明を脚色していません。また、私は大統領を不当に軽蔑したわけでもありません」
しかし、「老人」「記憶力低下」という描写は、政治的に大きなインパクトを与えたと議員は主張しました。
アダム・シフ下院議員(民主党、カリフォルニア州)「この表現が政治的な炎上を引き起こすとは理解できませんでしたか?」
ロバート・ハー元特別検察官「政治的な炎上といった判断は、捜査に全く関与しないものです」
一方、共和党は、不起訴という判断がは、相手が「老人」というだけで成されるのはおかしいと訴えましたす。
トム・マクリントック下院議員(共和党)「バイデン大統領は老人で、記憶力が乏しい同情的な人物という指摘は、個人が有罪か無罪かに関係しますか?それは裁判官か陪審が判断する問題ではないですか?」
民主党側は、バイデン大統領は、同じく機密文書問題で捜査を受けるトランプ前大統領との違いを指摘しました。
テッド・リュー下院議員(民主党)「バイデン大統領が司法妨害に関与しましたか?」ロバート・ハー「いいえ」
テッド・リュー下院議員(民主党)「バイデン大統領が隠蔽工作に関与していましたか?」
ロバート・ハー「いいえ」
しかし民主党議員が、報告書は、大統領の無罪を証明すると発言すると、ハー氏は、それを否定しました。
プラミラ・ジャヤパル下院議員(民主党)「この長期でコストをかけた独立捜査の結果、バイデン大統領は完全に無罪となる結果となったということですね」
ロバート・ハー「報告書で『無罪』という言葉は使っていないはずです。報告書にある言葉を使用してください」
プラミラ・ジャヤパル下院議員「まだ質問は続いています」
ロバート・ハー「(無罪の判断は)私の仕事ではない」
プラミラ・ジャヤパル下院議員「質問しています」
ロバート・ハー「証拠は存在しました。有罪の可能性もあります」
プラミラ・ジャヤパル下院議員「あなたは大統領の容疑を晴らしたんですよ」
ロバート・ハー「私は彼を無罪としていませんし、報告書にも書いていません」
プラミラ・ジャヤパル下院議員「私の発言時間ですもう結構です」
「老人」や「記憶力低下」など、今後大統領選を戦っていく人物の描写としては、マイナスイメージの報告書でしたが、民主党としては、バイデン大統領の疑惑やスキャンダルを早期に決着し選挙戦に向かいたい、というのが本音のところです。
一方、共和党側はこの問題の調査を続けており、ハー氏の聞き取りを記録した動画へのアクセスを求めています。