今年1月、ボーイング社製の旅客機が、飛行中に機体のドアが脱落する事故があり、その後にも、ボーイング製の機体に欠陥が見つかる事例が多発し、ボーイング社では、機体の品質管理に問題があることが、度々指摘されてきました。
そんな中、会社のずさんな体質について内部告発していた元社員が死亡するなど、アメリカの航空業界を揺るがす大きな問題に発展しています。
今年1月に、アラスカ航空の飛行機が離陸直後にドアパネルが吹き飛ばされた事故を受けその後FAA・連邦航空局が実施したボーイング社の同型機(737MAX)の製造工程の監査で、89件中33件が不合格だったと、ニューヨーク・タイムズが伝えました。
また記事では、アラスカ航空が、この時飛行したボーイング機がメンテナンスのためその夜に運航を休止する予定だったにもかかわらず、この飛行機は10日間飛行を続けた、とも報じています。
また、ボーイング社の長年にわたる製造工程の問題について告発を進めていたしていた元従業員が遺体で見つかり、このスキャンダラスな事件とその背景が注目されています。
死亡したのは、ボーイング社に32年勤続し、引退前には、最新ジェット機の製造工場で品質管理を担当していたジョン・バーネット氏(62)です。バーネット氏は、今月初めにボーイングに対する内部告発訴訟の証拠を、サウスカロライナ州の裁判所に提出していましたが、今月11日、月曜日に宿泊先ホテルの駐車場で、遺体で発見されました。
検死当局は、銃による自殺と発表、警察がその後の調査を行なっています。
このボーイング社の問題は、各航空会社の経営にも波及しています。
ボーイング社のジェット機のみを運航しているサウスウエスト航空は、パイロットと客室乗務員の新規採用を停止中で、機体の受注やメンテナンスの遅れを理由に減便の可能性があるとしています。
同じくユナイテッド航空でも雇用停止を実施し始め、アラスカ航空は、運航スケジュール減少の可能性を発表しています。
現在、全米で2800機以上のボーイング社製飛行機が運航していますが、最近の世論調査では、飛行機が適切に整備されていると「高い自信」を持っていると答えたのは、利用者全体のわずか18パーセントだ、ということです。