去年の5月14日、ニューヨーク州バファローの黒人が多く住む地域のスーパーマーケットで10人が死亡した銃乱射事件の裁判で、当時18歳だったペイトン・ジェンドロン被告に対し、終身刑が言い渡されました。裁判では遺族が被告に直接語りかける機会がもうけられ、遺族の1人が被告に突進する騒動もありました。
15日水曜日、ニューヨーク州バファローにあるエリー郡裁判所で、13人の遺族が証言台に立ち、次々と被告にむかってその思いを語りました。中には堪えきれず、感情をあらわにする遺族もいました。 当時72歳だった姉のキャサリンさんを失ったバーバラ・マッシー・マップさんは「あなたの首を絞めて私の指の跡をのこしたい! 」と語り、激しくその悲しみと胸の内を被告にぶつけました。すると後ろに立っていた遺族の男性が突然、被告に向かって突進しました襲い掛かりました。裁判所内は騒然とし、警備員がジェンドロン被告を部屋から一時避難させる事態となりました。
遺族らの発言の後、ジェンドロン被告が声明文を読み上げ、遺族らに謝罪しました。ペイトン・ジェンドロン被告は「愛する人たちの人生を奪ってしまい申し訳ありません。やってしまったことを言葉では表せないほど悔いています。恐ろしいことをしました。黒人というだけで撃ち殺しました。自分のしたことが信じられません。」と語りました。
この事件は去年5月に起きました。当時18歳だったジェンドロン被告が白人至上主義の思想をかかげ、黒人が多く住む地域にあるスーパーマーケットで銃を乱射し、10人が死亡、3人が負傷しました。被害者は13人の内、11人が黒人でした。 被告は犯行の一部をSNSでライブ配信していました。事前に2回現場を下見するなど綿密に計画された犯行で、SNSに投稿された被告の日記にはおよそ700ページにわたり、他の銃乱射事件の犯人に対する尊敬の念などがつづられていました。
被告は第1級殺人、殺人未遂、および憎悪を動機とする国内テロなど15の罪で訴追され、罪を認めていました。被告にはニューヨーク州での極刑となる仮釈放なしの終身刑などが言い渡されました。裁判官は「あなたや あなたの無知で邪悪な思想は文明社会に無用です。酌量の余地はなく 人生をやり直す機会は与えません。自由の身で空を見ることは2度とないでしょう。」と被告に告げました。ジェンドロン被告の弁護人は、今回の判決に対し上訴する意向はないとしていますが、連邦裁判所からもヘイトクライムなどで起訴されており、有罪となれば死刑の可能性もあるということです。