アメリカでは4月~6月が竜巻のシーズンですが、今年はすでに竜巻による被害が相次いでいます。先週末から 今週にかけて少なくとも95の竜巻が発生し、深刻な被害が でています。
先月31金曜日から1日土曜日にかけて南部、中西部、東部など14の州で少なくとも80以上の竜巻が発生し、少なくとも32人が死亡しました。また、ペンシルベニア州やオハイオ州など5つの州で、73万世帯が一時停電となりました。
イリノイ州では、250人以上が集まっていた メタルバンドのコンサート会場で天井が崩れ落ちました。落ちた天井の下敷きになった人を助けるため、居合わせた人たちが、ガレキの撤去を事故発生直後に始めたということです。会場にいた人は「釘が突き出た木材などガレキが重なっていました。ガレキの下から叫び声が聞こえ、とにかく助けようと思いました。」と語りました。48人が負傷し、50歳の男性1人が死亡しました。
テネシー州のこの家族は、竜巻の直撃をうけ、地下室に避難したと言います。玄関のポーチはなくなり、天井はくずれ、屋根は飛ばされ、家のほとんどが破壊されました。
アーカンソー州在住のメリッサ・モリスさんは、家が破壊され、 思い出の写真も吹き飛ばされたといいます。その1枚、モリスさんの娘の写真が240km以上離れたテネシー州の男性に拾われました。テネシー州在住で写真を拾ったジョン・エリスさんは「妻と話し、フェイスブックで持ち主を探すことになりました。」と語りました。その日の内に写真はソーシャルメディアに投稿され、モリスさんの元へと戻ってくることになりました。アーカンソー州在住のメリッサ・モリスさんは「感謝しきれません。彼が写真を気に掛けてくれて幸運です。」と語りました。
また、4日火曜日から5日水曜日にかけて、 アイオワ州、イリノイ州、ミズーリ州、ケンタッキー州で少なくとも14の竜巻が発生しました。ミズーリ州で少なくとも5人、ケンタッキー州で1人が死亡しました。
最近の研究で、竜巻が頻繁に発生する地域が変わってきたことが分かりました。「Tornado Alley/竜巻街道」と呼ばれるテキサス州からネブラスカ州にかけての地域では、この数十年間で竜巻の発生が減少し、竜巻街道の東側にあたるルイジアナ州からアラバマ州にかけての地域で増加しているということです。研究によると、この変化は、大気のパターンと気候変動によるものだと見られています。
1年間の竜巻による犠牲者数は平均で71人ですが、今年に入ってからの犠牲者数はすでに少なくとも69人にのぼっています。