4日火曜日、トランプ前大統領がニューヨーク州の裁判所に出廷し、34の重罪で起訴されました。大統領経験者が起訴されるのは、アメリカ史上初めてです。
トランプ前大統領が出廷した翌日、5日水曜日のニューヨークの新聞は、各紙1面でトランプ氏が34の重罪で起訴されたことを伝えました。保守系のタブロイド紙、ニューヨークポストは、トランプ氏の名前にかけて「Trumped Up/ねつ造だ」と見出しに付けました。
トランプ氏は、出廷後すぐにフロリダ州の自宅に帰り、その日のうちに演説を行い「2024年の大統領選の妨害が目的で、偽りの起訴だ。」と語りました。
トランプ氏は、2016年の大統領選の際、自分に不利な情報を隠すために口止め料を支払い、それを隠ぺい蔽するために事業記録を繰り返し改ざんしたとされ、起訴された34の罪は、全て記録の改ざんに関係するものです。マンハッタン地区検察アルビン・ブラッグ検事は会見で「トランプ氏に不利な情報を持つという3人に支払いました。」と語りました。
口止め料が支払われたとされる相手は3人です。トランプ氏と性的関係があったと主張するポルノ女優に13万ドル、トランプ氏と性的関係があったと主張す元男性誌「プレイボーイ」の元モデルに15万ドル、トランプ氏に婚外子がいると主張するトランプタワーの元ドアマンに3万ドル。これらがトランプ氏の当時の弁護士などから支払われたとされています。
口止め料の支払い事態は合法ですが、トランプ氏はそれを事業費として計上したとされ、事業記録の改ざんが罪に問われています。事業記録の改ざんは、通常、ニューヨーク州では軽犯罪です。しかし、別の犯罪の隠ぺい、または、別の犯罪を犯すためだと証明されれば重罪となります。専門家は、トランプ氏の重罪を証明するのは難しいとみています。ABCニュース法律専門家は「なぜ軽犯罪が重罪になるのか説明する必要があります。」と語りました。
また、検察はトランプ氏の選挙法違反も主張しています。マンハッタン地区検察アルビン・ブラッグ検事は会見で「この画策はNYの選挙法に違反で、違法に候補者を助長する共謀罪です。」と語りました。
トランプ氏は無罪を主張しています。次の出廷は今年12月に予定されています。
専門家は、検察側が今回、重罪で有罪に持ち込めなかった場合、これが政治的な意図を持った起訴だったとみなされ、今後、連邦議会議事堂襲撃など、より深刻な事件でトランプ前大統領の責任を問うことが難しくなるとしています。